2014年8月22日(金)

なぜ女は、怒ると芋ヅル式に過去を掘り起こすのか

PRESIDENT 2013年9月2日号

心理学者 伊東 明 構成=久保田正志
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反論は「敵対行為」とみなされる

男女の行動特性には意外なほどの違いがあり、男がロジック(論理)の生き物なら、女はエモーション(感情)の生き物です。これは私が勝手に決めつけたことではなく、現代の心理学や生物学、脳科学においてすでに定説となっている考え方です。

男性なら「君はこうすべきときに別の選択をして、僕たちに大きな迷惑をかけた。だから許せない」などと、ロジカルな怒り方をしますが、女性の場合はまず「怒り」という感情が先にあり、それを正当化するためにロジックを展開します。筋道が逆なのです。

休日に「子供の世話を手伝って」と夫に頼み、「ちょっと無理」と断られた奥さん。「あなたはちっとも子育てに協力しない!」と怒り出します。

旦那さんがモゴモゴと手伝えない事情を説明しているうちに、奥さんは話題を転じ、「あなたはひどい人だ」と決め付けます。そして次々と、記憶の中から「ひどい人」である証拠を引っ張り出してくるのです。

「私が熱を出してお料理できなかったときに、あなたは自分のお弁当だけ買ってきて食べていた。なんてひどい人かと思った」「結婚以来、『愛してる』と言ってくれたことがない」

まさに芋ヅル式に、数カ月前の話から何年も前の話、はては結婚前の出来事まで掘り起こしては列挙し、呆然とする夫を責め続けます。この場合、何かをきっかけに「ひどい人」と思ったら、それを補強するような証拠を、ありとあらゆるところから引っ張り出してくるのです。ロジックはエモーションの後付けにすぎません。

女性は男性に比べて感情の記憶が豊かです。比喩的に言うと、脳内にさまざまな感情が格納され、感情にはそれをもたらした記憶が付随しています。男性がフォルダ一つ分だとしたら、女性は本棚一列全部というくらい量に差があります。さらに女性の感情を伴う記憶へのアクセス速度は、男性より格段に速く、目の前の出来事が、あっという間に過去の感情を伴った記憶とリンクします。

その中で過去の話を引っ張り出すのは、女性からみれば必勝の戦略なのです。過去に起きたことは変えようがないから、男性には反論のしようがありません。

といっても、反論できればいいということではありません。

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