2014年7月26日(土)

おかずを増やしたら、子供が賢くなる!(前編)

プレジデントFamily 2013年1月号

著者
川島 隆太 

東北大学加齢医学研究所教授。1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒業。同大学院医学系研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学講師などを経て現職。研究テーマは、脳機能イメージング、脳機能開発。近著に『元気な脳が君たちの未来をひらく』(くもん出版)。

川島隆太(東北大学加齢医学研究所教授) 勝見 明=構成 市来朋久=撮影
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川島教授が研究を重ねてきた「朝食と脳の働き」において、新たな事実がわかってきました。その結果が物語るのは、子供の将来に責任を負う親たちへの警告なのです。

朝食はただ食べればいいわけではなく、おかずが重要で、品目が多いほど、子供の脳はよく働き、よく成長する。朝食の主食もパンより、お米のごはんを食べている子供のほうが知能指数が高く、脳の神経細胞層の量も多い。

小学生のころから平日のほぼ毎日、朝食をとる習慣を身につけていた大学生は、そうでない大学生と比べ、偏差値65以上の大学に第1志望で現役合格している割合が高い。

川島隆太
東北大学加齢医学研究所教授。1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒業。同大学院医学系研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学講師などを経て現職。研究テーマは、脳機能イメージング、脳機能開発。

こうお話しすると、読者の皆さんの中には「明日から朝食を変えなければ」と思われる方もいるでしょう。ただ、私がこの稿で訴えたいのは、朝食の向こうにある親の意識の問題です。日々勉強に励む子供たちが、本人の努力以外の要因で報われないようなことがあるとすれば、第一の原因は生活習慣にある。それが最も表れるのは朝食の習慣であり、子供の生活習慣に関しては、すべて親の責任であると自覚できるか。私の訴えに耳を貸していただけるのであれば、この稿を読み進めることを心からお勧めします。

子供たちの脳や心の働きについて研究を続けてきた私が、なぜ朝食に注目したのか。子供の生活習慣が端的に表れる食習慣を見ると、小中学生の場合、昼食はおおむね給食があり、学校のコントロール下にあります。夕食は日本ではむしろ食べ過ぎが危惧されるほどで、おおかた心配はないでしょう。これに対し、家庭によってばらつきが生まれるのが朝食です。これは家庭の経済環境の違いには関係ない。親の意識の差によるものです。朝食の習慣の違いが子供の脳や心の働き、すなわち、認知機能にどんな影響を及ぼすか。まさに注目すべきテーマでした。

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調査1:脳の働きと朝食メニューの関係は?

認知機能を点数化できるテストを用い、朝食を食べたときと食べないときとを比べると、同じ人でも午前中の脳の働きに1~2割の得点差が表れます。ただ、これは想定の範囲内です。予想外だったのは、おかずの重要性でした。

それは偶然の発見でした。2007年、私は共同研究の相手である製薬会社の研究員が書いた論文のデータを見て、目を疑いました。おにぎりだけ、つまり、炭水化物だけの朝食と、主食、主菜、副菜が揃った朝食をそれぞれ食べたときを比べると、同じ人でも午前中の認知機能テストで得点差が生じ、おにぎりだけのときには低い成績が出ていたのです。

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