2014年7月14日(月)

メタンハイドレートで日本は資源国になれるか

PRESIDENT 2014年4月14日号

著者
橘川 武郎 
一橋大学大学院商学研究科教授

1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科第2種博士課程単位取得。青山学院大学助教授、東京大学社会科学研究所教授を経て、現在一橋大学大学院商学研究科教授。専攻は日本経営史、エネルギー産業論。著書に『日本電力業発展のダイナミズム』、共著に『現代日本企業』などがある。

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一橋大学大学院商学研究科教授 橘川武郎=文 大橋昭一=図版作成
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夢の国産資源「燃える氷」とは何か

メタンハイドレートとは、低温高圧の条件下で水分子にメタン分子が取り込まれ、氷状になっている物質である。「燃える氷」と呼ばれることが多いメタンハイドレートは、温度を上げるか圧力を下げるかすると、水分子とメタン分子が分離する。分離されたメタン分子は天然ガスの主成分と同じものであり、重要な非在来型資源と位置づけられる。

わが国は、世界第6位の領海・排他的経済水域(EEZ)・大陸棚の広さを有し、これらの海域では大規模なメタンハイドレートの存在が確認されている。2006年度に行われた国の調査によれば、東部南海トラフ海域におけるメタンハイドレートの原始資源量(地下に集積が見込まれる資源の単純な総量で、可採埋蔵量とは異なる)は、1.1兆立方メートルに達する。これは、12年度のわが国の天然ガス消費量の約10年分に相当する。

いうまでもなく、国内に存在する資源は、供給リスクの低さの点から見て、最も安定したエネルギー供給源である。メタンハイドレートを産出、利用することができれば、「資源小国」日本のエネルギー事情は大きく好転する。メタンハイドレートは、わが国にとってまさに「夢の国産資源」なのである。

日本周辺に存在する2つのタイプ

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図1:海域におけるメタンハイドレートの2つの賦存形態 出所:経済産業省「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」2013年12月24日

日本周辺に存在するメタンハイドレートには、2つのタイプがある。「砂層型」と「表層型」がそれであり、図1はそれらの概要を示している。

「砂層型」のメタンハイドレートは、水深1000メートル以深の海底下数百メートルの地層中で砂と混じりあった状態で賦存している。おもに太平洋岸沖の東部南海トラフ海域を中心に相当量の賦存が見込まれているが、砂層型メタンハイドレートを安定的、経済的に産出するためには、自噴を前提とした在来型石油・天然ガスの生産技術のみでは不十分であり、減圧・加熱により地層内でメタンハイドレートをメタンガスと水に分解したうえで、採取管を通してメタンガスを洋上に回収する新たな技術開発が必要となる。

一方、「表層型」のメタンハイドレートは、水深500~2000メートルの海底に塊状で存在する。おもに日本海側沖合を中心に、存在が確認されている。表層型メタンハイドレートについては、分布する海域や資源量などの本格的な調査の実施と、その結果をふまえた開発手法の確定が求められる。

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