2014年7月14日(月)

なぜスマホに子守りをさせてはダメなのか

サイバーリテラシー・プリンシプル(3)スマホに子守りをさせない

PRESIDENT Online スペシャル

著者
矢野 直明 やの・なおあき
サイバーリテラシー研究所代表

朝日新聞社で1988年にパソコン使いこなしガイド誌『ASAHIパソコン』、95年にインターネット情報誌『DOORS』を創刊、初代編集長をつとめる。2002年にサイバーリテラシー研究所を開設し、「サイバーリテラシー」という考えのもとに、現代IT社会における人間の生き方を模索してきた。この間、慶応義塾大学、明治大学、情報セキュリティ大学院大学、サイバー大学などで教壇に立つ。主著:『マス・メディアの時代はどのように終わるか』(洋泉社)、『インターネット術語集』(岩波新書)、『インターネット術語集II』(同)、『サイバーリテラシー概論』(知泉書館)、『総メディア社会とジャーナリズム』(同、2009年度大川出版賞受賞)、『情報文化論ノート』(同)、『IT社会事件簿』(ディスカヴァー21)。

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サイバーリテラシー研究所(代表 矢野直明)=文
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子どもを「鬼から電話」に叱ってもらう親

イクメンという言葉もあるが、共稼ぎで交互に子どもの世話をしているとき、忙しさにかまけて、ついスマートフォンの子育てアプリに頼るケースも増えているようである。

たとえば、「おにから電話」というアプリがある。子どもが言うことをきかないとき、寝ないとき、歯磨きをしないとき、片づけをしないとき、薬を飲まないとき、これを起動すると、着信があり画面に鬼が出てくる。これを子どもに見せて効果があれば「拒否」、効果なしなら「通話」ボタンを押す。すると鬼が電話口から「また言うことをきかないんですか」とおそろしい顔をこちらに見せて、「こら! 言うことをきかないと、からいからい鍋に入れて食べちゃうぞ」などと脅す。小さな子は怖がって、泣き出したり、親に謝ったりする。

それで「効果抜群」と重宝したり、「躾に使える」とありがたがったりする親もいるらしい。子どもが「恐い、恐い」「やめて、やめて」と泣き叫ぶ様子を、笑いながら見ている自分もいっしょに動画におさめて、ユーチューブに投稿した母親や父親もいる。

昔はおっぱいを飲ませたり、子守唄を歌ったり、おとぎ話を聞かせたりする際に、肌を通じて赤ん坊に伝わる母親のあたたかい鼓動が子育ての重要な要素だったし、もちろんいまでもこれが子育ての本流だろう。しかし、テレビが登場したとき、テレビを子守に使わないようにとの忠告が出されたように、いまや「スマホに子守をさせないで」という警告が発せられるようになった。

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