2014年5月23日(金)

入院中に部下20人が離反、競合会社設立。慰留に努力するか

孫正義が出題、思考力を磨く設問

PRESIDENT 2011年3月7日号

大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 小倉和徳、石井雄司=撮影
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孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. 入院中に部下20人が離反、競合会社設立

3年間の入退院を繰り返した後、画期的な治療法をみつけ、1986年に完全復帰を果たす。その直後、社内から離反者が出て、競合会社を設立するという事件が起きた。A案は、裏切りに対する強硬策。B案は、損害を最小限に抑える懐柔策。
  【A】去る者は追わず【B】慰留に努力する(正答率70%)

部下の裏切りや離反。残念ながら、会社を経営していると、こういう事件も起きます。

1986年のソフトウィング事件は、メディアに対して話したことはほとんどありません。僕自身としても、あまり思い出したくないエピソードです。

孫正義氏

当時、パソコンソフト業界は500億円規模。日本ソフトバンク(当時)は業界1位でした。だが我々の成功を妬む人間もいたのでしょう。信頼を寄せていた役員を含む約20人の部下たちが、アスキーなどから出資を受けて、ソフト流通会社ソフトウィングを立ち上げたのです。競合会社の設立前までに、社内で不穏な動きがあることは、僕の耳にも届いていました。

去る者は追わず、という考えもあるでしょうが、一度は同じ志を持った仲間です。すがりついて、泣いてでも引き留めたかった。なんとかその行動を押さえ込みたかった。だから選択肢でいえばBだったと思います。でも、留める術がなかった。留めきれませんでした。いま思い出しても、非常に悔しいし、恥ずかしい思い出です。

業績的にも少なくないダメージを受け、事件から2~3年は苦しい戦いを強いられました。彼らはソフトバンクが一から築き培ったノウハウや取引先ルートを丸ごと盗み、僕たちのビジネスモデルを巧みに改良したのです。

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