「書棚を見れば、その人物がどんな人であるかわかる」と言われる。投資の世界で成功を収めた人たちは、いったいどんな本を読んできたのだろうか。サラリーマンや元サラリーマンを中心に、5人の読書歴を紹介する。

資産3億円!商社マン→大家→セミリタイア

石原博光●「複数の収入が欲しい」と始めた不動産投資で成功。現在7棟72室所有で家賃収入は最高5000万円。投資利回り20%超。

不動産投資で70世帯以上の物件を所有する石原博光氏は、本との出合いで人生が変わった投資家だ。

「僕は学生の頃から独立してビジネスをやりたいと思っていて、新卒で入った商社を1年10カ月で退職したんです。周囲には、そんな無謀なことに賛同してくれる先輩や友人はいませんでしたから、モチベーションは主に本から得ていました。例えば、経営者の自叙伝には、その人が成功するまでにどんな苦労と挫折があったかが語られていて、勇気と教訓をもらえました」(石原氏)

六畳一間のオフィスから始まった化粧品と雑貨の輸入販売会社は半年ほどで売り上げ6000万円を上げるまでになるが、右肩下がりの時期が続くと不安に苛まれる。

「あるとき、ヒントを求めて入った書店で『サラリーマンの私が3年で2億円 驚異のアパート投資法』(小川慎著)という本を見つけました。僕はその頃、不動産ビジネスっていうのは先祖代々の土地を相続した人とか、莫大な資産を手にした人がやるものだと思っていました。それを、この本は“サラリーマンでもできるんだ”というわけです。しかも、3年で2億円だと」(石原氏)

読んでみると、3年後に2億円のキャッシュを手にできるわけではないことがわかる。ノウハウ本としてはいまひとつの部分もあったが、タイトルから受けた衝撃は大きかった。

「最終的に背中を押してくれたのは『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン著)という本です。不動産投資というのは、1000年以上の昔からあった商売なんですね。目先の数カ月の売り上げを追いかけてきた自分には、不動産投資で得られる『安定性』『継続性』といったキーワードが何よりも輝いて見えました」(石原氏)