2014年3月22日(土)

あなたが親のオムツを買いに走る日

介護ドキュメント 親を看取るということ【1】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
相沢 光一 あいざわ・こういち
ライター

1956年生まれ。月刊誌を主に取材・執筆を行ってきた。得意とするジャンルはスポーツ全般、人物インタビュー、ビジネス。著書にアメリカンフットボールのマネジメントをテーマとした『勝利者』などがある。

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ライター 相沢光一
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ある日突然、父親が寝たきりに

父親の介護に追われる日々は突然訪れました。

昨年11月初旬の朝のことです。89歳になる父は高血圧気味でもあり、朝7時に私が血圧を測るのが日課になっていました。いつも通り父の寝室のドアを開けると、ベッドにその姿がありません。アレッと思い足元を見ると、ベッドの横に父が這いつくばるような形で倒れていました。

「どうした!」と声をかけると「トイレに行こうとしたんだが」との返答。立ち上がれず、その場でへたり込んだようです。

意識はしっかりしており脳梗塞などの血管障害を起こしたわけではなさそうなので、まずは父親をベッドに戻すことにしました。が、父は体重が65キロほどあるうえ全身に力が入らない状態。体はなかなか持ち上がりません。うつ伏せだった体を仰向けにし、両脇を持って体を起こして、なんとか腰をベッドの縁まで引き上げ、ベッドに横たえました。

息を切らせながら私は「これは一時的なものだ」と思い込もうとしました。

父は足元が覚束なくなったこともあり介護保険の「要支援1」の認定を受けていましたが、この日の直前までごく普通の日々を送っていました。風呂やトイレに入るのも問題はないし食欲も旺盛。食べたいものがあれば近所のスーパーに買いにでかけるほどでした。

ただし、前兆ともいえる異変はありました。4日前の深夜にお腹が苦しいと訴え、救急車でかかりつけの病院に搬送されたのです。が、この不調は強度の便秘ですぐに回復し、3泊4日の入院で帰宅しました。これまでも入院は何度かあり、退院直後はふらつくことがありましたが、すぐに普通の日常生活に戻ったので今回もそれと同じだろうと思ったわけです。

しかし、何時間たっても父は自力で立つことができませんでした。寝たきりの状態になり、その日から手探りの介護が始まったのです。

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