「必要だ」の意識はブレーキになる

社内の公用語が英語になったり、TOEICをはじめ語学試験のスコアが昇進、昇給に影響する会社が増えています。もっとも、そのような会社でも、普段の業務に英語とまったく関係のない部署もありますし、今のうちに勉強しようと思っても、すぐに使う機会もなくてやる気の出ない人もいるでしょう。

でも、そこで強引にやる気を出そうとする前に、「やる気」の仕組みを理解することが大切です。実は、やる気と呼ばれているものには2種類あって、一つは動機がはっきりしている“モチベーション”。しかしこれを持つ人は少数派で、大半はそうではない“テンション”なんです。

やる気は“出す”ものではなく“出る”もの。モチベーションの基幹はmotive=動機、つまりやる理由があって自然に“出る”ものです。一方、テンションはあえて“出す”もの。上がったら必ず下がるので長続きしません。大事なのは、ちゃんとしたモチベーションを持つことです。

人の意識は、顕在意識と潜在意識(無意識)に分けられますが、脳の活動は約97%が潜在意識に占められていて、顕在意識が占める割合はわずか3%。いくら頭で「英語を勉強しよう」と思っても、潜在意識が反対していれば到底続きません。

潜在意識には、車に例えるとアクセルとブレーキの2つがあります。アクセルに当たるのは「好き」「楽しい」「情熱」といった前向きな気持ち。逆に「嫌い」「苦手」「やりたくない」「不安」といったネガティブな気持ちがブレーキ。実は「必要だ」はアクセルではありません。理屈ではエネルギーは湧かないからです。で、アクセルとブレーキの差分が“やる気”です。プラスなら“やる気アリ”。前に進みやすくなります。

やる気が出ないという方は、そもそも英語の勉強をやりたくない、嫌い。でも、アクセルを増やすのは結構難しい。簡単なのはブレーキをとること。苦手意識の解消です。