2014年2月17日(月)

「お金=幸福」という方程式は成り立つか -年収別 幸せ実感調査【1】

PRESIDENT 2012年5月14日号

著者
山田 昌弘 やまだ・まさひろ
中央大学文学部教授

山田 昌弘1957年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。2006年「格差社会」で流行語大賞トップ10受賞。東京学芸大学教育学部教授を経て、現職。著書に『「婚活」時代』『パラサイト・シングルの時代』など多数。

中央大学文学部教授 山田昌弘 構成=山本信幸
1
nextpage
お金があると幸せになりやすいのか? 年収300万円台~1500万円以上の人まで貯蓄額、残業の多さ、出世欲から性生活の頻度まで、仕事と家庭のさまざまな面からアンケート調査した。
調査概要/楽天リサーチの協力を得てインターネットを通じて個人年収300万円台、500万円台、800万円台、1000万円台、1500万円以上の各年収200人ずつ、計1000人より回答を得た。調査期間は2012年3月23~25日。
図を拡大
図1 「幸福度」は年収に比例する/図2 「将来への不安度」は低年収ほど高い

幸福度は年収と正比例する――。年収別にアンケートをとったところ、こんな調査結果が出た。100点満点で幸福度に点数をつけてもらったところ、年収300万円台の人が最低の62.8点と答えたのに対し、800万円台では71.8点、1500万円以上では最高の74.6点をつけている(図1)。逆に不安度は300万円台が67.7点と最も高く、800万円台が55.4点、1500万円以上が46.5点というように年収が増えるほど低くなる(図2)。

図を拡大
図3 貯蓄額は年収に比例するが300万円台で貯めている人も!

貯蓄額も個人差はあるが、ほぼ年収に比例している(図3)。

確かに年収や貯蓄が多ければ、さまざまな欲求を満たしやすくなる。逆に、スキルをあまり求められない単純労働に従事している低年収の人は、この先、生活が保てるかという不安にさいなまれがちだろう。

図を拡大
図4 300万円台は「趣味」に没頭するときが幸せ

ただし私は、根源的な部分で「お金=幸福」という方程式が成り立つとは思っていない。人が本当の意味で幸福と感じるのは、周囲の人々から評価されたとき、つまり他者から「承認」されたときだ。その部分に大きく幸福は左右される。

実際、どんなときに幸福を感じるかという問いに対し、低年収の人は没頭しているとき、高年収の人は「仕事」に打ち込んでいるときに幸せを感じると答えている(図4)。

図を拡大
図5 低年収は仕事にやりがいなし

低年収の人は仕事で評価されにくいので(図5)、そこと関係のない「趣味」を評価されたいと感じ、高年収の人はお金で何でも買えるというより、「高い年収=仕事に対する承認」と受け止めるからと読み取れる。

さらに詳しい調査結果をもとに、「年収と幸せ」の相関関係についてさまざまな角度から分析していきたい。

PickUp