子育てより残業のほうが楽

先日、社内結婚をして子育て中の女性編集者と一緒に仕事をする機会があり、ちょっと驚くような愚痴を聞きました。

「ダンナばかり残業していてずるい。家に帰って家事をしたり子供の面倒をみるよりも仕事のほうが明らかに楽で面白いから。たまに私が残業して帰ってくると21時過ぎているのに子供を寝かしつけていなかったりする。かなり頭にくる」

子育てより残業のほうが楽――。仕事のできる女性の偽らざる実感なのでしょう。

この気持ちは子どものいない僕にも少しわかります。僕は製造業に携わる妻と結婚してからは朝型になりましたが、夜に取材が入ることも多いですし、たまには明け方まで原稿を書き続けたくなるからです。でも、「夜の仕事」をしすぎると夫婦で過ごす時間が皆無になるので控えています。特に小さな子どもがいる夫婦の場合は、配偶者が平気で夜まで働いていたら不公平感や孤独感を募らせるのは当然でしょう。やっぱり夫も含めた全社員が残業ゼロの時短社員になるしかないのかな……。

残業ゼロが実現しない現状では、「残業も当たり前の社員=正社員」なのだから、残業ができない妻や夫はパート社員に転換するか職住近接の自営業者になるしかありません。それが嫌ならば選択肢は3つです。高い費用をかけてベビーシッターを雇う、両親に子育てを任せる、そもそも子どもを作らない。