子供の認知能力は、成長すればするほど遺伝の影響が大きくなる――。そんな現象が、テキサス大学オースティン校の研究で明らかになった。

同校の研究班が発表した論文によると、認知能力に占める遺伝的要因の割合は、幼児期には25%以下だが、思春期には約70%に。一方で環境的要因の影響は、幼児期の65%から思春期には25%以下に低下していた。素朴に考えれば、後年ほど環境的要因の影響が大きくなりそうなものだが……。

その原因は、もともとの遺伝的傾向が経験を通じて「増幅」されることにある。たとえば、向上心の強さを親から受け継いだ子は、難しい目標に挑戦するなど自らの向上心を満足させる行動を好む。成長するにつれ親や教師が子供の自主性を尊重する結果、子供自身の行動を通じて、持って生まれた傾向がますます強まるというわけだ。

さらに、増幅の土台をつくる10歳ごろまでの環境も重要らしい。経済的理由などで情報や選択肢の少ない環境で育った子供たちは、より選択肢の多い環境で育った兄弟姉妹に比べ認知能力が全般に低く、かつ親からの遺伝的影響も小さかった。

10歳ごろまでにいろいろな経験をさせ、思春期になったら自主性を尊重して自由な探求を許す――わが子の潜在的な認知能力を最大限に増幅させるのは、そんな育て方ということか。