扶養家族を増やす方法はある?

一方、配偶者控除や扶養控除など、家族に関する控除を申告するのが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。この書類は、平成25年分と平成26年分の両方が配られている場合と、平成26年分だけが配られている場合がある。なぜ来年分? と思ってしまうが、これは来年の天引額を決める役割で、昨年も同じ時期に今年分を提出したはず。「家族の状況はそう変わらないでしょ」ということから、手間を省いて来年分しか配らない会社も多いよう。もし今年中に家族の状況が変わったのに平成25年分が配られていないなら、総務部に行って相談してみよう。

さて、この書類で増やせる項目はないか? 女性が配偶者控除を受けるケースは少ないかもしれないが、配偶者は妻とは限らない。もし夫が休職中といったときは、申告して税金を節約しよう。夫の収入が給与だけの場合なら、年収103万円までなら配偶者控除、103万~141万円までなら配偶者特別控除が受けられる(配偶者特別控除には妻の年収制限あり)。なお、申告できるのは戸籍上の夫婦に限られ、同棲中の彼氏は対象外だ。

子どもの扶養控除は16歳以上が対象。平成25年分の申告では、平成10年1月1日以前生まれ、平成26年分では平成11年1月1日以前生まれが対象になる。学年とは微妙にズレがある点に注意が必要だ。なお、共働き夫婦の場合、もし妻のほうが収入が高ければ、子どもを妻の扶養家族にしたほうが有利といえる。

独身の人は、「扶養控除なんて私とは関係ない」と思うのが普通。でも、親の生活を援助しているときは、親を扶養家族にできるかもしれない。たとえば、親が65歳以上で収入が公的年金だけの場合、年金収入158万円以下なら扶養家族にできる可能性あり。また、遺族年金は税務上の収入にならないため、「遺族年金で暮らしている母」を扶養家族にできる可能性はさらに高い。ただし、いずれの場合も常々生活費を仕送りしているなどで「生計が1つ」と認められることが条件だ。

申告忘れも確定申告でフォローできる

「年末調整の書類をもう出してしまった」という人もあきらめないで! もし申告していなかったものがあるのなら、なるべく早く総務部に相談してみよう。「もう間に合わない」と言われたときは、自分で確定申告すれば問題なし。会社員の還付申告は来年1月から受け付けが始まる。「何年も前から申告せずに損していた」という人も、過去5年分は申告できる。期限切れになる前に税務署に行ってみよう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。