2013年12月11日(水)

なぜクックパッドの営業利益率は50%なのか

ニュースな会社・経済の真実[限界利益率]

PRESIDENT 2012年6月18日号

著者
田中 裕康 
フリーランスライター

1981年、滋賀県生まれ。出版社の編集者を経て2009年よりフリーに。週刊誌、ビジネス誌等で活躍。政治、経済記事を中心に取材、執筆を続けている。

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フリーランスライター 田中裕康
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クックパッドは国内最大のレシピサイトを運営する企業だ。サイトの会員はレシピを投稿したり、掲載されたレシピを検索、閲覧することができる。月の利用者数は約3200万人。そのうち、レシピを人気順に表示できる有料会員(月額294円)は100万人ほど。近年、急成長を遂げているが、特筆すべきはその高い利益率だ。

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2011年4月期の売上高営業利益率は49.8%、12年4月期は49.3%、13年4月期は53.1%。上場企業の営業利益率の平均値は4~5%である。

なぜ、これほど高利益率なのか。3つの要因が考えられる。

1つ目は、「限界利益率の高さ」だ。限界利益とは、売上高から原材料費などの変動費を引いたもの。いちよし経済研究所の納博司主席研究員は解説する。

「同社のサービスの中心はウェブサイトの運営なので、基本的に仕入れが発生しません。よって変動費はほぼゼロといえるでしょう」

納氏によると、ネット関連企業の場合、アマゾン・ドット・コムのように仕入れが必要なeコマース企業を除き、限界利益率は100%近くになることが多いという。

「クックパッドは、クレジットカード会社や携帯電話会社を通じて有料会員から代金を回収しています。そこへの手数料が5%ほど。限界利益率は、手数料をのぞいた95%程度だと考えられます」

販促費をかけず「口コミ」で会員増

2つ目の要因は「会員事業の高収益性」。同社の事業は、有料会員から料金を徴収する「会員事業」、食品会社と共同してサイト上でレシピコンテストなどを行う「マーケティング支援事業」、バナー広告などを販売する「広告事業」の3つに分けられる。そのうち会員事業が売り上げ全体に占める割合は約60%。これがドル箱であると納氏は指摘する。

「固定費として人件費、システム関連費などが発生しますが、これらは会員数に比例して増えるわけではありません。サーバー性能の向上など、技術の進展により、同じ処理を行ったときにかかるシステム費は年々下がっています。つまり、会員数が増えて売り上げが伸びるほど、固定費の割合は減り、利益率が押し上げられるのです」

納氏の試算によると、会員事業の営業利益率は実に88%にも上る。費用は、前述の変動費が5%、固定費が7%程度という内訳だ。しかも、さらなる有料会員数の伸びが期待できるという。

「スマートフォンが普及すれば、PCを使わないユーザーをよりとりこみやすくなります。利用者数の10%くらいまでは有料会員を増やす余地があると思います」

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