世界人口の約2割を占め、出生率も経済の伸びも著しいイスラム圏。東南アジアから、中東、アフリカまで広がる海外の巨大市場に加え、急増する観光客をターゲットに国内市場も動き出した。そんなイスラムビジネスの最前線をレポートする。

イスラム市場への通行手形「ハラル」

今、イスラム圏を目指し、ビジネスを拡大する日本企業が増えている。なぜイスラム市場が急速に脚光を浴びているのだろうか。

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爆発するムスリム人口、2030年には世界の4分の1を超える

まず、領土問題や人件費上昇などを受けて、中国など東アジアから主に東南アジアにビジネスをシフトしようという企業が増えていることが影響している。東南アジアや中東、アフリカにまで広がるイスラム教徒の人口は16億~18億人といわれ、世界の2割程度を占める。彼らを対象とした市場は日本円で50兆円との試算もあり、存在感は年々増しているようだ。特に東南アジアは平均年齢が若く将来性が見込めるうえ、中間層が拡大してきて市場も成熟しつつある。

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「ハラル認証」を取った主な日本の食品メーカー

さらに今年7月、日本政府はタイ、マレーシアからの旅行者のビザ免除、インドネシアからの旅行者には数次ビザの滞在期間を延長するなど東南アジア諸国に対する観光ビザ発給条件を緩和。円安も追い風になり、東南アジアからの観光客が急増しており、観光客向けのビジネスを展開せんと動き出した企業が増えている。

イスラム教徒に対してビジネスをするうえで鍵となるのが「ハラル」である。ハラル(Halal)とはアラビア語で「イスラム法的に許されたもの」を意味する。一方、その対義語はハラム(Haram)と呼ばれ「許されていないもの、禁じられたもの」としてムスリム(イスラム教徒)の間では区別されており、たとえば飲食物に関しては、豚肉やアルコールなどがこれに当たる。

「ハラル」であることを証明しているのが「ハラル認証」だ。特定の認証機関から認証を取得したら、自社の商品にハラルマークをつけることができる。ハラルは食品だけでなく、化粧品などにも適用される。