1年間に1000通以上のメールを書く

東芝副会長 佐々木則夫氏

いまフランスのルーブル美術館で、寿命がきていたキセノンランプを、当社製のLEDに切り替えていくプロジェクトを行っています。昨年12月に点灯式を開催しましたが、それを皮切りに、ナポレオン広場やクール・カレ(中庭)の照明も2013年までに改修する予定です。点灯式には約450人の方が出席し、おかげさまで多くの方に喜んでいただけました。

パリに向かう機中では、仕事の資料に目を通し、あとは映画を観ていました。現地到着が夕方なので、ヘタに寝ると夜に眠れなくなってしまう。リズムの調整に、映画はもってこいです。

出張にはパソコンを持っていきません。セキュリティ上の問題もありますが、携帯電話1つで用が足りてしまいます。副社長のころまでは自分で資料を作成することも多かったのですが、トップは決断して指示を出すことが仕事の中心ですから携帯電話で十分です。

携帯電話で社内のメールはすべて見られるようになっています。電話は感情を伝えるのに効果的な手段ですが、ファクトを誤解なく伝えるという点でいうとメールに軍配が上がる。また、メールなら指示内容や回答がすべて残ります。それらを並べてみると、相手が何を考えているのかという方向性が見えてきて、さらに「ここに置き忘れたリスクがあるのではないか」とか、「本当はいいチャンスがあるのではないか」と考えを深めていける。

1年間に1000通以上のメールを書くほどの“メール魔”です。メールで日常の注意点から具体的な仕事の内容にも言及すると、自分の思ったことに対する情報も集まり、自分の思いも直接伝わります。毎朝届く「自社に関係するニュース」に対する質問もメールです。このように、メールは単なる情報伝達以上の活用が可能なのです。

出張の際も情報端末は「携帯電話」のみ。社内のメールをチェックして返信する。

私の1週間は、日曜日夜9時から始まります。ジャズを聴きながら、予定表を見て1週間の時間の使い方をイメージし、資料を読んで、プランを練ったりもします。ジャズは、1950~60年代が中心で、戸棚の端から端まで、500枚のCDをざっと聴いていくのですが、この時間は考えごとをする大切な時間です。

起床は5時45分で、朝食後、30分間自転車マシンを漕ぐのが日課です。朝風呂で汗をさっと流した後、7時半に出社しています。そこから9時頃までが、「指示出し」の時間になります。

人に仕事を頼むときは、朝にまとめて行います。そうすれば、パラレルに動いてもらえ、時間も短縮できます。