200年間の成功した人の調査結果

『7つの習慣』キングベアー出版

『7つの習慣』は米国建国以降の200年間に成功した人々の習慣や特性を調査し、7つの概念に凝縮したものである。ただし、初めの150年間と後半50年間の調査結果は対照的で、150年間は人格主義、50年は個性主義のアプローチであったという。

人格主義とはいわゆる内面的な要素、個性主義とは表面的なスキルやテクニックを使って成功する方法を指し、『7つの習慣』は人格主義にフォーカスしている。

本書の原題は“The 7 Habits of Highly Effective People”、直訳すると「非常に効果性の高い人たちの7つの習慣」である。すなわち、「7つの習慣」は手段であって目的は“Effectiveness”(効果性)にある。効果性とは「望む結果を得続けている」ことであり、それが本書の成功の定義である。

つまり、本当に自分自身が成し遂げたいことを成した、あるいは高潔な人格によって人々に大きな影響を与えたといった効果性の高い人々が持つ原則を7つの概念に体系化したものが『7つの習慣』なのである。

「7つの習慣」は、相互に関連性を持った体系である。「7つの習慣」を身につけることで、人は次第に依存から自立へ、そして相互依存の状態に成長していく。依存状態にある人が、第1から第3の習慣を通してまずは自立に至ること。これを「私的成功」と呼んでいる。

一方、相互依存は自立した人だけに許される状態である。人は1人だけで社会活動をできず他の人と交わりながら生きているが、1+1の答えが2になるとは限らない。お互いに足を引っ張り合って0やマイナス1になることもあれば、相乗効果を発揮して3にも4にもなることもある。相互依存とは、この1+1が2より大きくなる状態である。

第4から第6の習慣を身につけ、相互依存の状態に至ることを「公的成功」と呼ぶ。

物質主義的な社会では、個人は自立さえしていればOKという感覚があるが、決してそれは最終形ではない。最も効果性を発揮するのは、人と協働することで1+1の答えが3にも4にもなる相互依存の状態である。

「7つの習慣」は第1の習慣を身につけたら第2の習慣、そして第3の習慣へと順番にステップアップしていくというより、ある時点の成長レベルや成熟度に応じてそれぞれの習慣があり、継続的に伸ばしていくべきものである。この継続的なレベルアップが第7の習慣である「刃を研ぐ」にあたる。