前回解説(http://president.jp/articles/-/10948)の基礎原則を踏まえ、以下に「7つの習慣」を紹介していこう。

リーダーシップとマネジメントの違い

『原則中心 リーダーシップ』
キングベアー出版

第1の習慣は「主体性を発揮する」。人は刺激を受けて反応する。そのとき、過去の経験や前例に基づいて反応しがちであるが、実は刺激と反応の間にはスペースがあり、自らの価値観に基づいて自らの意志で選択することができる。つまり第1の習慣における「主体性」とは、自らの価値観に基づいて反応を選択することを意味している。

非常にわがままで看護師につらくあたる患者がいて、多くの看護師が「あの人、もう亡くなればいいのに」と陰口を言っていたとしよう。ここでは患者の悪態が刺激であり、陰口が反応である。仕方のない反応のようにも見えるが、これではイニシアティブを握っているのは患者であって看護師自身ではない。

悪態をつかれたとき、刺激と反応の間のスペースをぐっと広げ、「何を言われようと親切の限りを尽くす」などと自らの価値観に基づいて自分がどんな反応を選択するかを考え、行動することが主体性の発揮である。

第2の習慣は「目的を持って始める」だが、この項の原文は“Begin with the End in Mind”。つまり、正確には「心の中で終わりをイメージして始める」だ。この項で重要なのは自己リーダーシップの発揮である。

我々の研修で「リーダーシップとマネジメントの違いは何か」と尋ねると、多くの人はぼんやりしたイメージしか持っていない。

端的に言えば、リーダーシップとは方向性を示すこと、正しい物事を行うこと。マネジメントとは物事を正しく効率よく行うことである。これは個人でも組織でも同様だ。

言い換えるとリーダーシップはコンパスであり、マネジメントは時計である。「もともとやるべきではなかったことを、効率的にやるほど非効率なことはない」とドラッカーが言ったように、どちらを先に置くべきかといえばコンパスであるが、大多数の人は時計を持っていても、人生の方向性を指し示すコンパスは持っていない。