2013年10月12日(土)

過熱するNISA口座開設に意外な落とし穴

PRESIDENT 2013年9月2日号

著者
鈴木 雅光 すずき・まさみつ
金融ジャーナリスト

オールアバウト「投資信託」ガイド。証券会社勤務後、出版プロデュースを行うJOYntを設立。「投資信託事情」編集のほか、多くのマネー誌などで執筆多数。

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ジャーナリスト 鈴木雅光
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来年1月からスタートするNISA(ニーサ)を巡り、金融機関の口座獲得競争が過熱している。

NISAとは少額投資非課税制度のこと。そのモデルはイギリスで1998年からスタートしているISA(アイサ)だ。概略としては、非課税期間は5年で、年間100万円、総額500万円まで投資した分に発生する値上がり益、配当金、分配金が非課税になる。対象は株式ならびに株式投資信託であり、REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)も含まれる。また一部のネット証券会社は、米国株なども対象にする予定だ。ただし、現在保有している商品は移管できない。あくまで新規購入分が対象となる。

NISAを利用するためには、金融機関にNISAの口座を開設しなければならない。ただし、口座開設ができるのは、1人1金融機関のみ。ネット証券会社と銀行の両方にNISA口座を開くことはできない。それが一段と口座獲得競争を激しいものにしているのだ。口座開設受け付けは10月からだが、6月の時点ですでに一部の金融機関は、事前予約を受けつけたり、キャッシュバックのサービスを展開していた。

ただし、金融機関選びには、くれぐれも慎重を期したい。というのも1度口座を開いてしまうと、最低4年間は金融機関の変更が認められないからだ。制度上は、4年経過した時点で金融機関の変更が認められているものの、変更する人はほとんどいないと思われる。なぜなら、あまりに利便性に欠けるからだ。

たとえば2014年から毎年100万円ずつ投資すると、17年の時点で、NISA口座には投資元本ベースで400万円が積み上げられている。

問題はここからだ。最初にNISAの口座を開いた金融機関Aに対して何らかの不満があり、口座を他の金融機関Bに移そうとした場合、まず金融機関AのNISA口座にある400万円を全額解約しなければならない。

しかし、金融機関Bに移管できる金額は100万円まで。積み上げていた400万円のうち300万円は、行き場を失う。非課税メリットを受けられた金額が、その時点で100万円になってしまうのだ。それでも金融機関を変更したいと思う人は、まずいないだろう。

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