良い支援者、悪い支援者、困った支援者

妨害する人、アドバイスできる人。

会社が破綻する、資金繰りが苦しい、というフェーズとなるとどこからともなく、「力になりたい」「資金を出したい」「協力したい」という人たちが現れます。もちろん、中には本当の意味での支援者もいるはずですが、その多くは要注意人物です。どんな要注意人物が出現するのか、そして、その対処方法について説明します。

支援者には、大きく分けて3つのタイプがあります。

1つは、本来の意味での支援者です。例えば民事再生(会社の清算を前提とする「破産」とは異なり、再建を前提とする手続)の適用時には多くの場合、スポンサーが求められます。このスポンサーは「本来の意味での支援者」です。ぜひこういった協力者を得たいものです。ソフトバンクが、PHS業者であるウィルコムの民事再生の際のスポンサーになったのがこの例です。スポンサーを得ることが出来ず、民事再生が認可されないときは、破産し、会社をたたむことになります。

善意で企業を助けようと思って動く支援者も多いのですが、会社危機時における法律の知識や経験、またそもそも支援する資金がない支援者候補に付き合っていても時間が無駄になるだけです。会社が追い込まれている時期に時間は非常に貴重です。

一方で、企業が危機の時に限って、ハイエナのように群がる「危ない」支援者もいます。支援者の顔を装って、会社の大切な資産である工場を安価で買い取ろうとしたり、取引先を奪ったり、従業員を引き抜いたり、さまざまな手を使ってきます。こういった支援者の話に何か納得いかない場合には、ひとりだけで考えるのではなく、必ず専門家に相談してください。破産目前に追い込まれた状態で、冷静な判断ができる経営者はほとんどいらっしゃいません。

厄介な会計事務所

会社が追い込まれた状況で相談できる身近な存在は、会計事務所であり、税理士であることは多いはずです。しかし、会計事務所もこの時ばかりは少し厄介な存在となることがあります。

クライアントが会社を閉鎖したり、他の会社に買収されたりすると、彼らは顧問先を失い、売上を減らすことになります。また、多くの会計事務所では会社閉鎖やM&Aの実務に関するノウハウを持っていません。その結果、はっきりした答えを出すことができないまま、顧問報酬をとれるだけとろう、という戦略に流れがちなのです。会計事務所、税理士に相談して、はっきりした方向性が提示されない場合には、相談する相手を変える必要があります。医者にも専門があるように、会計事務所や税理士にも専門があることをよく知っておいてください。