2013年9月17日(火)

ロボットは電気街で夢を見るか(後篇)

秋葉原☆マネタイズ【第25回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
梅本 克 うめもと・まさる
デジタルハリウッド大学客員准教授 Ph.D.(経済学)

梅本 克

1967年生まれ。1998年、ヴァンダービルト大学(米国テネシー州)卒。米国留学時より少女漫画の翻訳活動を通して日本文化の普及に努め、2005年にアジアアニメーション産業組織体(AAO)を立ち上げて、アジア各地でコンテンツ産業の育成や若手クリエイターの支援を行う。これまで国内外で多くのアニメ、ロリィタファッション、ヴィジュアル系など、日本のポップカルチャーに関わるイベントをプロデュースし、現在は秋葉原に活動拠点を置いて、新しい文化の創造と発信を通した地域活性化プロジェクトに携わる。趣味は仏像鑑賞とコスプレプロデュース。柔道二段と茶道石州流奥傳の資格を持つ。主な関心は秋葉原における趣味文化の経済学。

執筆記事一覧

梅本 克=文(デジタルハリウッド大学客員准教授)
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 「ASIMO」は秋葉原で練習中

「この願いかなうその日まで」(コスプレイヤー=みるる、撮影=YU-SUKE)

秋葉原をIT産業の世界的な拠点にするため、東京都の再開発計画によってJR秋葉原駅前に整備された一帯が「秋葉原クロスフィールド」です。その一角に、本田技研工業(ホンダ)が開発した人型2足歩行ロボット、ASIMOの基地、「studio ASIMO」があります。そこでは、各地で行われるイベントに向けて動作を練習するASIMOの姿を見ることができます。「studio ASIMO」には、ASIMO開発当初の構想イメージ画が展示されています。そこには、人間と楽しそうに会話をしながら、たくさんの荷物を抱えて階段を上るロボットが描かれていました。日常生活の中で活躍するロボットを考えた時、家具の間を行き来したり、階段を上ったりと、あらゆる場所を移動するには、人間のような2足歩行が最適だとホンダの開発チームは考えたそうです。

1990年代、私が米国に留学をしていた時に通っていた大学院には、ロボット研究所がありました。私はその研究所で、日立製作所、NEC、安川電機などの当時ロボット研究を進めていた日本企業に、米国人の学生や研究者をインターンとして送り込むコーディネーターのアルバイトをしていました。当時の日本はすでに、産業用ロボットの分野では世界一の市場シェアを持ち、ロボット工学において最先端技術を誇っていました。ロボット研究所で行われていたのは、自分で動くことができる自律系2足歩行ロボットの研究でした。ロボットに歩かせるくらい簡単じゃないのかと、素人の私は不思議に思っていたのですが、当時はまだ自律系2足歩行ロボットは実現できていなかったのです。

1996年、ホンダが世界で初めて自律2足歩行を実現した人型ロボット「P2」を発表します。これが後のASIMOにつながります。2000年に誕生してからもASIMOは進化し続け、2005年には時速6kmで走ることもできるようになりました。10年ほどの間に、2足歩行ロボットの技術は驚くほどに進化したのです。

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