食の世界に新星登場!? このところ気になるのは北欧諸国の活躍だ。今年1月にフランスで開催された「ボキューズ・ドール」という由緒正しいフランス料理のコンクールに、24カ国が参加。堂々1位を獲得したのはノルウェーだ。2位がスウェーデン。3位フランス、4位デンマーク。日本の8位までの間には、アイスランドも食い込んでいる!

前菜3種盛り合わせの「ノルディックサンプラー」。新設された4800円のコースでも楽しめる。

前菜3種盛り合わせの「ノルディックサンプラー」。新設された4800円のコースでも楽しめる。

ご存じ、スウェーデンのインテリアショップチェーン「IKEA」の上陸と爆発的人気を受けて、日本では北欧そのものがブームである。そんな背景を受け、フランス料理の技術を用いながら、北欧独特の食材や文化を含んだ、近代的「北欧料理」が、最近話題なのだ。

昨年10月に外苑前にできて以来人気の「アクアヴィット」は、まさに、北欧料理の「今」を感じられるレストランである。ストックホルムにある同店や、その街のレストランも見てきたという、津留見和彦シェフが言う。

「サーモン、ニシンは確かに名物ですが、寒い地方だから、基本的に食材は不毛。輸入に頼っている部分がとても多いゆえ、日本に似て、食に関して外のものを抵抗なく受け入れる文化があります。家庭には普通に醤油がおいてあったりする。ほの甘い料理も多く、フレンチやイタリアンよりも、日本人の味覚に合いやすいと感じます。この10年くらいで、街には洗練されたレストランがぐっと増えています」とのこと。ちなみにこのレストランの店内は北欧家具で満たされ、空間もゆったり。敏感なサラリーマンの接待の場としても使われ、「日本の味にどこか似ているね」という感想も多いそう。そして店名にもなっている地酒、アクアヴィットは、芋から造る蒸留酒。つまり芋焼酎みたいなもの……確かに日本人に遠からずの味覚なのかも!?

(的野弘路=撮影)