2013年8月5日(月)

LCC就航1年「安売りしても儲かる」3つの秘策

PRESIDENT 2013年7月29日号

著者
井上 慎一 いのうえ・しんいち
ピーチ・アビエーションCEO

井上 慎一1958年、神奈川県生まれ。三菱重工業を経て、90年全日本空輸入社。北京支店総務ダイレクター、アジア戦略室長、LCC共同事業準備室長を歴任。2011年、A&Fアビエーション(現ピーチ・アビエーション)CEOに就任。「師はパトリック・マーフィー(欧州最大のLCCライアンエアーの元会長)」と公言する。

ピーチ・アビエーションCEO 井上慎一 構成=三田村蕗子 撮影=向井 渉
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就航率99%!JAL、ANAを超えた

ピーチ・アビエーションCEO 
井上慎一氏

昨年の3月に運航を開始してから1年余、おかげさまで順調に推移しています。ロードファクター(有償座席利用率)は平均78%。この5月は84%に達しました。単年度黒字化はまだ果たしていませんが、2014年度には達成の見込みです。5年後には累損も一掃したいですね。

この1年間、とにかく重視してきたのが、飛行機をちゃんと飛ばすことでした。LCC(格安航空会社)は安さや乗務員のパフォーマンスばかりが注目されますが、航空会社ですから決められた時間に出発するのが第一。このこだわりが、定時出発率83%、就航率99%という数字につながりました。これはANA、JALも含めて日本の航空会社のなかではトップの数字です。

LCCのサービスモデルの定着化にも腐心しました。「価格の安さ」はお客様にアピールできる「良いつかみ」です。しかし、安さを実現するために、ほかの便に振り替えをしないとか、5分でも遅れたら搭乗できないといったルールを設けていることを理解していただく必要がある。私も空港でよく接客をしていますが、お客様に「振り替えもしてくれへんの」と言われると、「そうすると料金が3万円になりますよ」と言います。もちろん丁寧な口調でですよ(笑)。

理解不足で最初は確かに混乱もありましたが、説明を重ねていくうちにスタートから3カ月ぐらいで「LCCとはこういうものなんだ」という理解が深まりました。今年5月に計画より1カ月早く200万人の搭乗者数を達成できたのも、粘り強い取り組みの成果です。

もう1点、強化したのがブランディングです。ほかのエアラインが真似できないブランドにしようと、社名から機材の塗装、客室の色、ユニホームまで考え抜きました。英語ではピーチにスラング的な意味があるのは知っています。でも、いいじゃないですか。アジアだけしか飛ばない短距離のLCCなんですから。

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