貯まる人、貯まらない人。格差が広がっている

中央値が大幅に下がったことは、貯蓄額が真ん中より下の世帯の貯蓄が大きく減ったことを意味する。にもかかわらず平均値があまり下がっていないのは、真ん中より上の世帯の貯金はほとんど減っていないということだ。つまり、「苦しい家庭はますます苦しく、豊かな家庭は引き続き安泰」ということになる。

「収入が下がり続ける中で、これまではギリギリもちこたえていた家庭が、ここへきてついに力尽きた、ということでしょう」(藤川氏)

毎月の赤字補てんに貯金を取り崩すようになれば、蓄えはいずれ底をつく。そこで緊急事態が起きれば、すぐに家計破綻だ。そんな“負のスパイラル”に陥った家計には、早期発見・早期治療が何よりも重要だ。

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図2 年収1000万円超でも1割は貯蓄ゼロ

わが家は十分収入があるから大丈夫――そう思っている人もいるかもしれない。だが、年収が多くても貯金があるとは限らない。図2のように、1000万円以上の年収があっても、約1割の家庭は貯蓄ゼロだ。一方、年収300万~500万円の家庭でも、30%以上は1000万円以上の貯蓄がある。年齢で見ても、30~70代以上まで、どの年代でも約3割が貯蓄ゼロ。つまり、年収や年齢にかかわらず、貯められる人は貯められて、貯められない人は貯められない。

あなたは、わが家に貯金がいくらあるかすぐに答えられるだろうか? 家計は妻に任せっきり、というのなら、負のスパイラルが始まっていないか、一度は確認したほうがいい。

「気がついたら貯金がなかった!」

そんな事態が起きるのは、むしろ収入が人並み以上の家庭のほうだ。