老人斑が発生する50歳前後から予防

<自分自身が老後に認知症や寝たきりになる不安を抱える人が75.1%>

これは、2010年、内閣府が行った介護保険制度に関する世論調査の結果だが、自立した生活を送れなくなる不安の大きさを物語った数字である。リスクを確実に下げる予防方法はないものなのか。2人の専門医に話を聞いた。

まず、認知症に詳しい順天堂大学医学部・白澤卓二教授の話は興味深い。

「認知症の中でも物忘れを主症状としたアルツハイマー病は、脳の中に老人斑というシミのようなものが増殖して、認知機能が低下していくもので、これまでは治らない病気だとされてきました。しかし、最近の研究で発症のリスクを下げられることが確実になってきたのです」

認知症は高齢者の病気というイメージが強いが、白澤医師によれば、老人斑が発生し始めるのは50歳ぐらいから。老人斑が少ないこの時期に予防を始めれば、成果は格段に上がるそうだ。

その予防方法として白澤医師が第一に挙げるのは「食事」である。

「適切な食事を摂ることで、老人斑ができるプロセスを、脳の中で起きる化学反応によって制御していきます」

アルツハイマー病を発症させたマウスによる実験で、最も有効なデータが確認できたのはクルクミン。これはウコンに含まれる主成分で、エサに混ぜたところ、老人斑の数が減った。

次に効果が認められたのはDHA。ご存じ、魚の脂に含まれる成分だ。

3番目は野菜または果物。野菜・果物ジュースを週3日以上飲む人は、飲まない人に比べてアルツハイマー病のリスクが76%低減するというデータがある。実は白澤医師自身、ここ2年半、毎朝野菜・果物ジュースを飲んでいる。

入れるものは2人分であれば、リンゴ1個、小松菜2~3房、人参2分の1本。そこに水500ミリリットルを加えて、ミキサーで約30秒撹拌する。日によって、柑橘類、腹持ちをよくしたければアボカド、バナナを入れたりする。また水を減らして調製豆乳、ヨーグルトを加えたりすることもある。