それ以外に老人斑の増殖を抑える効果があったのは、いわゆる地中海料理だ。オリーブオイルと果物、野菜、豆類、穀類、魚類を中心に摂ることで、アルツハイマー病の発症リスクが68%低下した。

あとは、アーモンドや鰻などに含まれるビタミンE、唐辛子に含まれるカプサイシン、鮭やエビなどに含まれるアスタキサンチン、ジンジャーなどがある。

アルコールに関しては、ビールなどよりも、赤ワインを白澤医師は勧める。赤ワインに含まれるレスベラトロールは認知症予防に効果があるからだ。ただ、グラス3杯、270ミリリットルが上限という。

最近、もう1つ注目すべき論文が「ランセット」という専門誌に発表された。その論文によれば、アルツハイマー病には7つの予防可能な要因――(1)糖尿病、(2)中年期の高血圧、(3)中年期の肥満、(4)うつ、(5)運動不足、(6)喫煙、(7)低教育水準があるというのだ。

「それを取り除けば、半数がアルツハイマー病を防げるという内容で、生活習慣病予防と重なる部分が多い。将来的にアルツハイマー病は、生活習慣病といわれるようになるかもしれません」

さらに、白澤医師が勧めるのは運動である。万歩計を携帯し、毎日体重計に乗る。それだけで意識が変わり、自然と体重が減っていく。同医師によれば、「20歳時の体重プラスマイナス5キログラム」をキープするのが1つの目安だという。

自分の家系には認知症の人はいないからと高をくくってはいけない。「なぜなら病気に強い遺伝の恩恵は40歳までにほぼ使い果たしてしまいます。それ以降は自己責任なのです」

特にいまの40代以降は、ファストフードやコンビニによるジャンクフードの直撃を受けた世代。脂肪や糖質に偏り、添加物の多い加工食品により、遺伝要因を使い果たすのも早まる恐れがある。