家族が安心できるのは「公正証書遺言」

家族のもめごとを避け、相続をスムーズに進めるために有効なのが「遺言」だ。特に、財産を法定相続分どおり分けるのが難しいときや、介護した人など特定の人に財産分けで配慮したいときなどにも遺言が効果を発揮する。もちろん、子どもがいない夫婦の場合も、お互いに遺言を書いておくことが必要だ。

ただ、本当にもめごとを避けるなら、法的に有効で、しっかりした遺言でなければならない。法的な遺言にはさまざまな種類があるが、一般的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類だ。

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手軽な自筆証書遺言、確実な公正証書遺言

自筆証書遺言は、文字どおり、自分で書く遺言だ。手軽に書くことができて、費用もほとんどかからない。だが、問題は、相続が起きた後に開封せずに家庭裁判所に持っていかなければならない点だ。さらに検認の手続きも必要で、家族にとっては面倒で時間もかかる。また、法的な形式に合っていないと遺言が無効になる場合もあるので注意が必要だ。

公正証書遺言は、公証人に書いてもらう遺言のことで、証人に立ち会ってもらう必要もあり、多少の手間と費用がかかるのが短所といえる。だが、検認の必要はなく、内容が明確で紛失する可能性もないので、家族にとっては安心だ。こうしたことを考えれば、トラブルを避けるには公正証書遺言のほうが望ましいといえるだろう。

遺言には、財産の配分だけでなく、そのように分けた理由や、家族全員への感謝の気持ちなどを「付言事項」として書くこともできる。付言事項に法的な効力はないが、こうした言葉があれば、遺された家族は納得して気持ちよく相続することができるだろう。

ある意味で、これが遺言の最も重要なポイントといえるかもしれない。遺言は、暗く冷たいものではなく、家族への愛情を伝えて温かく幸せにするものなのだ。