自宅は「持ち家」と「賃貸」のどちらが賢い選択なのか。数量政策学者・元内閣官房参与の髙橋洋一さんは「土地も資産も持っていないのであれば賃貸のほうがいい。人生を懸けて、身の丈に合わない住宅ローンを組んでしまうリスクはあまりに大きい」という――。

※本稿は、髙橋洋一『60歳からの知っておくべき経済学』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

拡大鏡と家のモデル
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日本が「保険大国」になった背景

我が身に何かあったとき、「家族に経済的な不自由をさせたくない」という思いから、多くの人がすでに何らかの民間保険に加入している。今や85歳でも入れるがん保険や死亡保険があるため、読者の中には加入を検討している人も多いだろう。

なぜ、日本はここまで保険大国になったのか。

かつて銀行は預金サービスくらいしか行っていなかったが、2000年代に入ると、系列の証券会社や保険会社の商品を販売するようになった。その結果、銀行員のお勧め商品ということで、投資信託や保険に加入する人が増えた。

「貯蓄性のある保険」は保険ではない

しかし、とんでもない失敗をした人もなかにはいる。保険とは名ばかりの「変額保険」という商品に手を出してしまった人がその典型例だ。変額保険の中身は投資信託そのもので、相場次第で損をすることがよくあった。

銀行や保険会社のセールストークには、「老後のための保険」「貯蓄性があって保険金は返ってくる」というものが多い。だが、裏を返せば、保険で貯蓄性があるということは、その商品はもはや保険ではないことを表している。

こういう保険は、保障と投資信託を組み合わせている。保障性のほうがすごく高ければ保険といえるが、いずれ保険金が返ってくると謳う保険商品のほとんどが、契約内容をみると実際には保険ではないというケースが多い。