新ビジネスモデルで日本躍進の可能性も
AIを利用した医療はまだ始まったばかりですから、日本が世界をリードする可能性もあります。
現状の日本は、デジタル敗戦そのものですよね。デジタル技術を上手く生かせなかったことが「失われた30年」の大きな要因です。日本の医療界で象徴的なのは、コロナ禍においてファクスを用いて報告を行っていたこと。悪い意味で世界を驚かせてしまった。
そもそも数十年前のインフラを使い続けるのには、限界が来ています。これを一気に新しいデジタルを活用した仕組みに変えるべきタイミングだと思います。中国は10年前に国全体をデジタル化していってから躍進しましたが、日本が国全体をデジタル化する中で、新しい仕組み、世界をリードするようなものをつくっていくことは十分可能なことでしょう。
一方で高齢化が進む日本では、財政的に厳しい部分はあります。ただし公的私的なお金を使いながら医療を良くしていくということは、社会的にも承認される部分です。そこで、医療分野においてAIを使った新しい仕組みなりビジネスモデルをつくることができる可能性があると思います。
高齢化は日本だけの問題ではありません。中国は十数年遅れで日本よりも深刻な高齢化社会になっていきますし、西側諸国も同じような状況。課題先進国としての日本が、新しい市場をつくっていく機会があるわけです。これをポジティブな未来につなげられるかどうかが、非常に重要です。
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※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年5月3日号)の特集「AI時代の生き方大全」の一部を再編集したものです。
(構成=本誌編集部)