発酵食品はなぜ健康にいいのだろうか。日本醸造協会理事の村井裕一郎さんの著書『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』(あさ出版)より解説をお届けする――。

「麹」「酵母」「酵素」の違い

発酵を理解するための重要な概念、「麹」「酵母」「酵素」について解説していきましょう。

「こうじ」「こうぼ」「こうそ」と、ひらがなにすると、すべて一文字違い、そのうえ酵素と酵母は漢字までよく似ているので、混乱する人が多くいらっしゃいます。

発酵のことがよくわからなくなるのも、大きな要因はこの混乱によるものです。

逆に言えば、この3つの違い、とりわけ「酵素」についてわかれば、発酵を原理的に理解したと言っても過言ではありません。

発酵に使う微生物は3種類

日本で発酵に使う微生物は3種類で、そのうちの2つが、麹菌を含むカビと「酵母」です。

「酵母」は微生物なのです。そして、麹菌(カビ)が米や麦や豆に生えたものが「麹」です。

麹は発酵食品をつくる原料として使われたり、最近では、塩麹のように麹自体を直接食べることもあります。

「こうじ(麹)」……米や麦や豆などに麹菌が生えた食品原料
「こうぼ(酵母)」……微生物そのもの

米麹
写真=iStock.com/masa44
麹菌が米や麦や豆に生えたものが「麹」(※写真はイメージです)

では、「酵素」とは何でしょうか。

酵素は、物質です。私たちの身体の中で消化や吸収、代謝など、ありとあらゆる活動を促進する働きを担っています。

その種類は数千種類にも及ぶとされています。