家庭にも保育所にもいい点がある

大日向雅美さんの書籍『母性愛神話の罠』によると、アメリカの研究で「母親が働いている場合と働いていない場合とで、乳幼児期の発達状況、児童の認知発達、社会性の発達、行動上の適応や問題点、学業成績等において、いっさい差異が認められないことが明らかにされています。むしろ、働いている母親は子どもに対してより高度な教育的態度を持ち、それが子どもの認知発達や学業成績、社会性の発達を促進していることが明らかにされている」のです。

日本でも同様の研究で、「3歳未満のうちに母親が働いた場合、子どもの問題行動や、母子関係の良好さ、子どもへの愛情への悪影響は認められなかった」という結果だったことを以前の記事でご紹介しました。子育て中であっても、他人がどのように生計を立てていくか、どういった働き方をするかを他人が口出しするべきではないのは言うまでもありません。

保育所を利用せず育てたいと思っていて、それが可能なのであれば、家庭で保育すればいいでしょう。反対に保育所を利用したいと思ったり、利用せざるを得なかったりするなら、子どもを預けることに罪悪感を持つ必要はありません。家庭での保育、保育所での保育には、それぞれよい点も悪い点もあります。どちらがより優れているというわけではないし、最善の方法は家庭によって違います。4月からお子さんが保育所に通われる方も多いと思いますが、新生活をぜひ楽しく過ごしてくださいね!

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