78歳の女性は数年前に夫に先立たれ、戸建ての家に一人暮らし。一人娘は結婚し、独立したものの離婚。当時は仕事をしていたが、それも辞めてしまい、母親に家賃や食費など経済的支援を頼むように。女性は月15万円の年金のうち、10万円前後を仕送りしていた。女性が、娘を実家に戻すことに躊躇していた理由とは何だったのか――。
給付金の10万円を手に持っている少年
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見えにくい女性のひきこもりの実態 バツイチのケース

先日発表された厚生労働省の調査では、ひきこもりに占める女性の割合は、年代によって異なるものの、4割を超えています。ひきこもりといえば、男性というイメージがありますが、女性も少なくありません。特に女性の場合は、「専業主婦」「家事手伝い」と認識されることもあり、見えにくい傾向があります。

以前に相談に来た方のお子さまも女性でしたが、すでに結婚して家を出ているけれど、ひきこもりだと言います。どんな事情なのか耳を傾けました。

◆相談者の家族構成
・相談者=母親:78歳(年金生活) 
収入は夫の遺族年金と合わせて年180万円
・長女:46歳(無職)
※父親はすでに他界

資産
・預貯金:約2700万円
・自宅:戸建て持ち家

「このままの生活を続けていて大丈夫でしょうか?」

相談に訪れたのは78歳の母親でした。聞けば、離婚した一人娘(46歳)に仕送りを続けているというのです。長女は結婚し、自宅を出たものの、結婚生活は数年で破綻。離婚後は一人で暮らしていましたが、生活費が足りないということで仕送りをしている状況です。

離婚後は実家に戻ることも検討したのですが、仕事もあり、一人暮らしを続けることにしたとのことです。親としても、親元に戻ってきて、すっかり居ついてしまうよりは、早く再婚してほしいと願っていたそうです。

はじめは仕事に情熱を持って打ち込んでいたのですが、何があったのか突然辞めることになったと連絡がありました。離婚時の財産分与もそれほどあるわけではなく、その後、生活のためにアルバイトをしていたようですが、徐々に生活費に窮するようになりました。

はじめは次の仕事が見つかるまでと、お小遣い程度を渡していましたが、やがて無心をするようになり、今では月10万円前後も仕送りするようになってしまいました。そんな生活がもう10年近く続いています。

「最近は何も仕事をしていないようなんですよ。どうもほとんど外出もしないようで、家に閉じこもり気味になっているみたいなんです」