【CASE2】「帰宅後のルーティン」で妻バレした夫の浮気

「夫はいまだになぜ浮気がバレたのか不思議に思っているようですが、私にしてみれば実に簡単なことでした」と誇らしげに語るのはJさん(43歳)。

「私がにらんだ限りでは、夫の浮気は1回。浮気が本気になる前に食い止めることができたのは不幸中の幸いでした」

Jさんより6歳年上の経営者の夫は絵に描いた亭主関白。Jさんは20代で結婚して以来、一度も働きに出たことがなく、子供に恵まれることもないまま専業主婦を続けていた。

「一代で今の会社を築いた夫は、稼ぎも多く一家の大黒柱ですが、間違いなく世間でいう“モラハラ夫”です。部屋が片付いていないと『誰のおかげで専業主婦をやっていられると思っているんだよ』、料理の品数が少ないと『もっとうまいものをたくさん食べさせてもらえるくらい、オレは稼いでいるよな?』などと言ってくるのは日常茶飯事。人には言えませんが、お風呂上がりには夫のパンツをはかせるのも私の務めでした」

そんな夫に対し、Jさんが疑問を持ったのは半年前。帰宅した夫が、いつものようにJさんに脱いだ上着やシャツなどを預けた後、靴下まで脱がせてもらっていた時のことだった。

「『あ、これは浮気をしてきたな』とピンときました」

メンズ靴下
写真=iStock.com/Hanasaki
※写真はイメージです

実は数年前、Jさんの夫が出張先で「取引先からの接待」と称して風俗店に行ったことがわかり、離婚騒動になるほど夫婦でもめたことがあった。

「その時、相談した夫婦問題のカウンセラーから『今、一時の感情で離婚を選択しても、あなたにとっては不利なことばかり。どうしても別れたいなら、離婚後の生活を見据えて貯金や仕事、住まいを確保しておくことが先決。慰謝料を十分にもらえるよう、できるだけ有利な条件になるよう動くべき』というアドバイスを受けました。『(経営者である旦那さんの収入が高いので)今別れるより、関係を修復して夫婦生活を続けるほうが得だし楽よ』とも。そこではじめて『だったら、もう絶対にガマンできないという限界まで頑張って夫婦生活を続けてみよう』と思ったんです」

幸いにして、その時は夫が平謝りをして離婚にいたらずに済んだものの、「次に浮気をしたら、妻であるJさんに相当有利な条件で離婚できる公正証書を作成させる」ということで一件落着になったという。

「その一件があったせいで、夫の浮気に関してアンテナを張れるようになったし、私自身も自分の幸せのために冷静に損得を考えられるようになったのも事実です」

今回、夫の靴下を脱がせる際、Jさんが夫の浮気を察知したのもそういう背景があり、「離婚するなら決定的証拠を集めなければ」と思ったからだった。

ところで、なぜJさんが夫の浮気に気づいたのか。

「夫の足首に、いつも見られる“ゴム跡”がなかったんです」

足がむくみやすいJさんの夫は、1日仕事をして帰ってくるといつも足がパンパンになっているせいで、靴下のゴム跡がクッキリとついていた。

「ゴム跡がまったく見当たらないほどツルツルで、むくみもない夫の足を見た瞬間、『靴下を脱いでくつろいできたんだな』と。安いボディソープの匂いも残っていましたし」

そこでJさんは、夫に「そういえば、覚えているわよね、公正証書をつくる件。あれ、今でも私は本気だから」と笑顔で念押ししたとのこと。一瞬にしてJさんは夫の顔がこわばるのがわかったという。

「それ以降、半年以上たちますが、夫の足からゴム跡が消えたことはありません。おそらく本気で『ヤバい』と感じたのでしょう(笑)」

下着や靴下などの着替えを妻に命じるというモラハラ行為はJさんにとっては屈辱的なところはあるが、その後も夫の身体検査を続けているそうだ。