愛のキューピッドなしの「偶然の出会い」
このことで、小泉氏は賞賛されているわけだが、私は美智子さまと旧華族社会との摩擦を避けるためにもっと小泉氏らは万全を期すべきだったと考える。美智子さま本人や実家の正田家に任せすぎで気の毒だったし、その後遺症は今日にも及んでいる。
上皇陛下は美智子さまに「柳行李ひとつでも」、天皇陛下は雅子さまに「私が守る」とおっしゃったそうだが、そんな言葉だけで何も解決しないのであって、お妃教育や、後ろ盾として守ってくれる人を用意周到に用意するというのは愛のキューピッドの責任だ。
天皇陛下の時は、出会うより先にマスコミが先回りして、条件のそろった令嬢たちを「皇太子妃候補」として報道したため、最初の出会いがうまくセットできなかった。一方、大学でもほかの場でも周囲の人間が「たまたまの出会い」に慎重になりすぎて、関係者が嘆くほどだった。
そのような状況で、外国賓客との晩餐での話し相手として呼ばれていた外交官令嬢などの中に、スペインのエレナ王女来日に動員された雅子さまがおり、お二人が偶然出会われたことはまことに運が良かった。
宮内庁ではなく岸田総理が介入すべき
悠仁さまのお妃選びに話を戻そう。最近、宮内庁周辺で、悠仁さまが高校進学の報告のため伊勢神宮を参拝されたのは礼を失するという意見があるとする週刊誌報道があった。皇女である愛子さまの方が目上であり、愛子さまがまだ伊勢神宮への成年の報告をされていないのに先に参拝したためだという。
未来の天皇としての通過儀礼、帝王教育、お妃選びなどについて、愛子さまや、姉であり目上と言えば目上の佳子さまに遠慮して悠仁さまが待たねばならないということはあり得ないだろう。また、マイペース型のお二人に、悠仁さまのお妃捜しに影響が出るから早く結婚しろというのこそ気の毒だ。
帝王教育についてもお妃捜しについても、現在のように皇族任せで、有能な官僚でしかない宮内庁幹部には荷が重い。これは、岸田総理が体制と人事も含めて国家的課題として介入すべきことだ。今の総理に当たるかつての摂政関白も、明治や大正の総理たちも真剣に関与したテーマなのである。必要ならば上皇陛下夫妻の結婚をまとめ上げた小泉信三に当たる人、あるいは、いろいろな世代と知識経験をもつ男女からなるチームを選任し、本気で妃選びに当たるべきだろう。