キャンキャン吠える野党が野田元首相に学ぶべきこと
世論が分断し、両極化していく中で、「合意形成のための努力」が必要である、と訴えているのだ。実際に、「感情的になり、重箱の隅をつつくようになんにでも反対する」「キャンキャンと子犬のように吠える」といったイメージが持たれがちな野党にとって、野田氏の尊厳あるコミュニケーション戦法は今後の一つの指針になるのではないだろうか。
日本同様に分断が進むアメリカでは、いかにして、政治的分裂を減らすことができるかについての研究が進められている。この9月に、『Nature Human Behavior』誌に掲載されたノースカロライナ大学などが行った研究論文によれば、共和党員と民主党員はお互いに対する悪意や敵意を50%から300%も過大評価していることが分かった。つまり、お互い、「相手が自分を憎んでいる、嫌っているだろう」と実態以上に思いがちである、ということだ。
人は、相手が自分を嫌いだろう、敵意を持っているだろうと感じれば、同じように反感を持ってしまう。実際に、両党のリーダーが温かい交流をしている姿を見せることで、支持者や議員の相手の党に対する反感が有意に減少することが確認された。だからこそ、まずは「こぶしを上げるのではなく、手を差し伸べよう」というのが、この論文の主旨だ。
そのためには、
●感情的にならない
●共通点を浮き彫りにし、共感を形成すること
●対話のスキルを構築する
●事実だけではなく、ストーリーを語る
といったお互いのコミュニケーションの努力が欠かせない。
「言論の力を頼りに、不完全かもしれない民主主義を、少しでも、よりよきものへと鍛え続けていくしかない」という野田氏が本当に打ち出したかったのは、与野党問わず、言葉によって、建設的な対話をする努力をしていくべきだ、というメッセージなのではないだろうか。