一人暮らし世帯は40%に到達しつつある

「家族」が消えつつあります。

「夫婦と子ども2人」からなる核家族のことをかつては標準世帯といいました。世帯の中心は、この「夫婦と子」世帯であり、その構成比は、1970年代まで全世帯の45%以上を占めていました。世帯の半分近くがこの「夫婦と子」世帯だったわけです。しかし、先ごろ公表された2020年の国勢調査においては、25%にまで激減しています。

※一般的に、家族はそれ以外の「夫婦のみ世帯」や「3世代世帯」「一人親世帯」など複数で構成される世帯も含みますが、本稿では、この標準と呼ばれた「夫婦と子」世帯を家族と便宜上定義することとします。

子供と手をつないで公園で遊ぶ幸せな両親
写真=iStock.com/Liderina
※写真はイメージです

激減した「夫婦と子」世帯の代わりに、大幅に増えているのが一人暮らしの単身世帯(ソロ世帯)です。単身世帯の構成比は、2020年には38%にまで増えていますが、ここが天井ではなく、今後ますます加速していくでしょう。

国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、2040年には39%が単身世帯となると推計されていましたが、すでにそのレベルに到達しており、もはや2040年を待たずして、40%を超えるかもしれません。反対に、同推計では「夫婦と子」世帯は23%にまで下がるとされていましたが、こちらも最悪20%を切ることもあり得ます。

家族が激減しているのは意外にも大都市ではなく…

国勢調査における世帯類型が新区分となった1995年から2020年までの25年間の「夫婦と子」世帯数の増減数を総世帯数で割った「夫婦と子」世帯増減率をマップ上に落とし込んでみると、「消えゆく家族」の全貌が浮かび上がってきます。

世帯類型別構成比長期推移

この25年間で「夫婦と子」世帯の数が増えているのは、滋賀や北陸3県などわずか9都県にすぎず、残りはすべて減少しています。「夫婦と子」世帯率が2020年でトップなのは滋賀県で、29%と高い値をキープしており、子育て世帯の集積に成功していると言えます。意外にも、大都市でありながら東京や愛知なども増えている側に位置します。コロナ禍で東京から人口流出などと騒がれていますが、25年間の大きなスパンで見れば、東京は地方に比べれば家族が増えているということになります。