キャピタルゲインが狙える土地
前述した「マティエ ニセコ」もホテルコンドミニアムだ。ニセコ(倶知安町)には330棟ものホテルコンドミニアムがあり、日本人富裕層からの投資も増えているものの、その多くが香港やシンガポール、マレーシアなどの海外富裕層によって所有されている。日本において、ニセコ以外では、京都や沖縄の一部などにしかないものの、海外の高級リゾート物件投資では、一般的な仕組みとされる。
なお、ニセコの場合、インカムゲインは、コロナ禍前でも、実質1~3%程度であり、オーナー自身が利用できるメリットはあるものの、それほど魅力があるようには見えない。
では、何が儲かるのか。それは、キャピタルゲインが狙えるのだ。2021年の地価公示において、全国全用途平均は、前年比マイナス0.5%と6年ぶりに下落したなか、ニセコ(倶知安町)の公示地価上昇率は、住宅地では25.0%上昇で3年連続日本一。商業地では21.0%上昇で4年連続日本一の水準なのだ。2022年3月の公示地価上昇率では、全国トップ50圏外となったものの、それでも、ニセコ(倶知安町)の住宅地では11.9%、商業地では4.1%と、全国全用途平均の0.6%と比べても極めて高い水準を維持している(※)。
※倶知安町の上昇率は、2022年3月23日の北海道新聞「小樽住宅地2年ぶり上昇」を参照
コロナ禍で上昇率は下がったものの、過去5年間で10倍以上に跳ね上がった不動産も多くある。デフレ下の日本の不動産市場において、ニセコほど継続的にキャピタルゲインが期待できるエリアは、ほとんどないはずだ。
ヒトの流れは止まっても、カネの流れは止まらない
ニセコは、他の多くの国内リゾートとは違い、海外観光客だけではなく、日本に滞在する外国人や、海外富裕層・投資家をも惹きつけているため、インバウンド需要がゼロになっても、活気を失っていないのだ。コロナ禍でも、ニセコに不動産を既に所有する国内外の富裕層の多くは、耐久力があり、長期・安定保有が目的であるため、売り急ぐことがない点も大きい。
ニセコでは、パウダースノーのおかげで、国内外の富裕層顧客がスキーヤー・スノーボーダーとして集まり楽しむことで、良質なホテルコンドミニアムなどが供給され、ブランド化が進み、資産価値の上昇により、さらなる開発投資が行われる、という投資が投資を呼ぶ好循環が続いている。ヒトの流れを止めることができても、カネの流れを止めることはできないということだ。
①外資系最高級ホテル、②世界的なカネ余り、③海外富裕層とホテルコンドミニアムの存在によって、コロナ後を見据えた国内外の富裕層などによるニセコの投資開発は続くことになろう。