外食がテイクアウトを充実させたことで、ますます激しくなる中食の競争。そんななか、勢いよく伸びている食事宅配サービスがある。その名も「つくりおき.jp」。おいしいおかずが届くと言えば平凡だが、「サービスのクオリティが高い」と評判だ。どんなサービスで、どのようにユーザーの心をつかんでいるのか。その秘密に迫った——。

PRESIDENT HOMEは、「家」にまつわる新しいサービス、新商品、新しいライフスタイルを紹介するシリーズです。

鶏もも肉を調味料や香辛料に1日漬け込んで、素揚げにしたバッファローチキン(写真は4人分)。一切手抜きなし。これに副菜が1品か2品ついて、1食分となる。
写真=市来朋久
鶏もも肉を調味料や香辛料に1日漬け込んで、素揚げにしたバッファローチキン(写真は4人分)。一切手抜きなし。これに副菜が1品か2品ついて、1食分となる。

都心から火がついて、提供エリアを拡大中

つくりおき.jp」は、今年2月にサービス開始したばかりの手づくり惣菜宅配サービスだ。契約数を順調に伸ばし、8月までの7カ月間で累計10万食だった提供数は、11月末時点では25万食とここに来て急激に増加。10月までは東京都心の13区のみを対象にしていたが、11月から23区内全域が対象になり、2021年には神奈川県など首都圏全域に拡大予定だ。

注文はLINE経由のみ、料金プランも2種類のみと実にシンプル。定額制・送料込で、料金は週当たり7800円+税と1万2800円+税。いずれも週1回のデリバリーで、4人家族想定で3食分が届くか、5食分が届くかの違い。たとえば、月曜日に5食分が届くようにしておけば、月~金までの夕飯を考えてつくる苦労から解放され、土日は家族の好きなものをつくってあげる、ということが可能になる。

気になる1人前あたりの料金は約650円。届くのはおかずのみで、決して安くはないが、なぜこれほど急激に成長しているのか。何が客をひきつけるのか。ユーザーに話を聞くことができた。

働くママにとって、別次元のクオリティ

IT企業で働く木村千恵さん(30代、仮名)は、ご主人と中学生の男の子、小学生の女の子との4人家族。夫婦ともフルタイム勤務のため、定期的に惣菜が届く宅食サービスは一通り使ってきた。ネットでたまたま見つけた「つくりおき.jp」を試してみると、これまでのサービスとは別次元だったという。

「まず、お料理の見た目が違います。しっかり手づくり感があって、食卓に出したとき、『今日は手が込んでいるね』という印象になります。感激したのは、野菜がたくさん入っていること。そして、家庭では惜しみがちな一手間二手間がくわえられていることです。最近だと『かぼちゃの揚げ煮』というメニューがあったのですが、かぼちゃを煮ることはあっても、一度揚げてから煮るという手間はなかなかかけられません」

子供でも無理なく食べられるようにと、やさしい味付けでつくられている。専任のシェフを中心に丁寧に手づくりされたものだ。

「うちの子供たちは、基本的に魚が苦手です。でも、『つくりおき.jp』の魚料理だと自ら食べる。野菜も、こういう料理なら食べるのか、と驚くことがあります。たとえば『人参しりしり』という人参や卵にツナやお豆腐が入っている炒め物があるのですが、こういう味付けなら食べるんだ、と気づかされます。非常に参考になって、自分でも作ってあげるようになりました」(木村さん)

木村さんが絶賛するつくりおきおかずの数々は、どのようにつくられているのか。運営する株式会社Antwayを訪ねた。