日本マクドナルド創業者はメモ魔だった

ハンバーガーショップ「マクドナルド」を知らない人は、まずいないでしょう。ところが、日本マクドナルドの創業者である藤田田ふじたでんについては、とりわけ若い世代では、知らない人が多いかもしれません。藤田は同社を、日本を代表する外食企業に同社を育て上げただけではなく、日本の外食業界に科学的な経営理論を導入し、産業化を成し遂げた最大の功労者でもあります。

ノートを持ったビジネスマン。
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私は長年、藤田について取材し、彼が積極的に「メモ」を活用していたことを知りました。

藤田には、幼い頃から「メモを取る」クセがあったそうです。目で読んだり、耳で聞いたりした情報は、すぐに忘れがちですが、メモに残せば記憶されやすく、後で見直すこともできます。そのおかげか、藤田は「地頭のいい子ども」に育ち、全国有数の進学校だった旧制北野中学校(現在の大阪府立北野高校)、旧制松江高校を経て、東京大学法学部に進みました。

藤田が「メモ魔」になるのを決定づけたのが、戦後の占領期にGHQで通訳のアルバイトをしていたときの、ユダヤ人との出会いでした。

GHQで知り合ったユダヤ人の下士官は、サイドビジネスに高利貸しをしていたので羽振りがよく、上官であるアングロサクソンの将校も、実はユダヤ人に借金があるので、彼らに頭が上がらなかったのです。藤田はユダヤ人に弟子入りしユダヤ商法を学び、「世の中を支配しているのはカネだ」という信念を抱くようになったのですが、彼がもう1つ、引きつけられたのが、ユダヤ人のメモの習慣でした。