販売開始から135年がたってもなお年間約4000万箱を売る「三ツ矢サイダー」(アサヒ飲料)。低迷期こそあれ、長い間炭酸飲料の主力であり続ける強さは何か。経済ジャーナリストの高井尚之氏が、そのブランド戦略について聞いた——。
レモネード、「特産」などシリーズを横展開
スーパーやコンビニなどの小売り店頭で、「三ツ矢サイダー」や「三ツ矢」ブランド(アサヒ飲料)をよく見かける。最近は定番以外に、さまざまな派生商品もある。
例えば4月2日には「三ツ矢レモネード」を発売。当初の年間販売目標「100万箱」の半分を、わずか3週間で達成した。7月16日には「三ツ矢サイダー NIPPON」という商品も発売。こちらは、前回の東京五輪開催年の1964年に販売していた「全糖三ツ矢シャンペンサイダー」の味を現代風に再現したという。この2品も後述する「特産三ツ矢」シリーズも何度か買って飲んだ。幅広いフレーバーで訴求する、攻めの姿勢を感じる。
最新データでは梅雨明けが遅れ、涼しい日が続いた7月は絶不調だったが、梅雨明け後の猛暑にも恵まれ、8月の販売数はその遅れを取り戻す勢いだ。
三ツ矢サイダーの歴史は長い。「三ツ矢印平野シャンペンサイダー」が発売されたのは1907(明治40)年だが、前身の「平野水」(炭酸水)が世に出たのは1884(明治17)年で、すでに135年になる。いわば「100年ブランド」だ。