「何とかなるさ」で社長を引き受けた
【弘兼】新浪さんがサントリーの社長になる、と聞いたときには大変驚きました。ああいうトップ人事の打診は、どれぐらい前からあるのですか。
【新浪】いま(2015年12月)からだと、2年くらい前です。
【弘兼】佐治信忠さん(現会長)からの誘いだったわけですよね。
【新浪】そうですね。
【弘兼】お付き合いはいつから?
【新浪】僕がローソンの社長になってからですから、13年前からですね。それから年に数回、会食やゴルフでご一緒していました。
【弘兼】なるほど。そうした場面で「うちの経営をやってみないか」と言われたんですね。どう思いましたか。
【新浪】ローソンの社長を務めていたときから、サントリーという会社にものすごく好感を持っていたんですよね。毎年、2月頃にサントリーの販売会社との慰労会があって、営業現場の人たちと話すと、おもしろいし、とても愉快なんです。いい会社だなとずっと思っていたんです。
正式に打診をいただく前の段階では、「まだローソンを辞めるわけにはいかないな」と思っていました。自分の後を任せられる人がいなかったので、お話を真面目にうかがうということもできなかった。
しかし、2010年に玉塚元一(現社長)に顧問として来てもらい、11年からは副社長として経営を任せられるようになり、状況が変わりました。玉塚社長という後任がいるなら、考えてみてもいいかもしれない。こういう言い方は不適切かもしれませんが、「おもしろい会社だからいいかな」と思ったんですよ。