地球のありのままの姿を写し続けて28年
環境フォト・コンテストは、「写真が語るエコロジー」というキャッチフレーズを掲げて1994年にスタート。第2回からは環境省の後援を受け、その後第28回まで毎年途切れることなく、その時々の「地球のありのままの姿」を写し続けてきた。その結果、環境をテーマとする写真コンテストとしては国内屈指の規模にまで成長。SDGsをはじめ地球の持続可能性への関心が高まる近年においても、「大学生部門の新設」「SNSの運用」といった試みを通じて若年層への情報発信に力を入れるなど、今なお進化を続けている。
当コンテストの仕組みの中で最も特徴的なのは、協賛企業と、当コンテストに共感して応募してくださる方々の共同作業によって、作品が制作される点だろう。協賛企業は、まず自社の地球環境に対する理念や具体的な取り組みなどに因んだ募集テーマを設定。応募者は、各社の募集テーマを自分なりに解釈した上で写真を撮影し、写真に込めた思いを記す。この“写真”と“思い”の総合力で作品は評価される。いかに写真が優れていても、それだけでは入賞は難しい。ここに当コンテストならではの面白みがある。
旭硝子財団賞「自然の中にある幸福」
伊藤忠商事賞「地球のめぐみ」
王子ホールディングス賞「森の力で未来を変える」
カメラのキタムラ賞「写真の力 ~レンズがとらえた瞬間~」
大日精化工業賞「環境色彩」
大日本印刷賞「大気のうた」
タカラレーベン賞「水と暮らしの幸せ」
日本生命賞「たくましく生きる力」
JT賞「共存」
大学生部門「あなたのとなりにある地球環境」
また、年齢も性別も言語も問わず、直感的に誰もが理解できる「写真」を扱っている点もポイントだ。近年はスマートフォンの技術革新と普及により、以前に比べて写真撮影がより手軽で身近なものになり、実際にスマートフォンで撮影された写真の応募も増えている。このこともまた、当コンテストが四半世紀を超えてもなお影響力を拡大し続けている要因の一つと言えるだろう。
年間を通して多面的な情報発信が継続
そんな当コンテストでは、前述のようなテーマ設定に加え、協賛企業が審査に参加して自社の伝えたいメッセージを確実に結果に反映できる点も特徴だ。約50点の一次通過作品の中から、審査委員の推薦を参考にしつつ、自社テーマの入賞作品3点(優秀賞1点、佳作2点)を最終的に選定するのは協賛企業の役割。また各優秀賞作品の中からグランプリ1点を決める最終審査会においても、協賛企業は投票で自社の意思を示すことができる。こうした点において、スポンサーとして進行を見守るしかない類のコンテストとは大きく異なる。
その上、単発での広告掲載とは異なり、年間を通して情報発信が続く点でも違いは際立っている。毎年6月4週発売号の『PRESIDENT』本誌で各社の募集テーマとその狙いについて告知することを皮切りに、公式ホームページの更新、SNSによる情報拡散のほか、『dancyu』や『ALBA』といった他媒体でも情報を発信。さらに、チラシやポスターを制作して全国の写真サークルや大学などに配布している。また、環境省主催のエコライフフェアでは、毎年、受賞作品をパネルにして掲示。昨年はコロナ禍により開催されなかったため、代わりにPRESIDENT Onlineに協賛企業それぞれの環境への取り組みを軸にしたインタビュー記事を掲載した。このほか一昨年からは、募集告知号に続く7月2週発売号の『PRESIDENT』本誌に、協賛企業の持続可能な取り組みについて紹介する「サステナビリティ推進企業特集」を掲載するなど、多面的な募集・周知活動を展開し、さらなる裾野の拡大に努めている。
10月には、受賞者を含む関係者が一堂に集まり、当コンテストのハイライトとなる最終審査会・表彰式を開催(2020年と21年は、コロナ禍の影響で受賞者を呼ばずに最終審査会のみを実施)。そして、新年第1号の『PRESIDENT』本誌およびWEBサイトにおいて、最終的な結果が大々的に発表される。
協賛企業は受賞作品のデータを活用することができ、それらはIR報告書やカレンダーなど各社独自の広報ツールのイメージとして利用されるケースも多い。また、すべての受賞作品のパネル(A1サイズ)も貸し出し自由であるため、各社が独自に行うリアルイベントなどでの掲示も可能だ。
地球環境への思いを共有する皆さまと共に
この2年間のコロナ禍の影響は当然ながら当コンテストにも及び、多くのことが例年通りには行えなかった。しかし、コンテストの実施自体も不透明だった20年には、前述した「大学生部門」や「サステナビリティ推進企業特集」という新たなチャレンジに踏み切り、その結果、協賛企業数の増加と応募件数の大幅増を実現。翌21年には、協賛企業数は前年と同じ9社を維持しながら、応募数は2500点ほど増加し1万3944点を記録した。中でも、大学生部門は設置2年目にして対前年比で約2.5倍という大幅な応募増。多くの次世代リーダー層と企業をつなぐという部門設置目的の達成に向け、手応えを感じる結果となった。
昨年10月に開かれた「第28回環境フォト・コンテスト2022」を締めくくる最終審査会において、プレジデント社社長の長坂嘉昭は「コロナ対応を理由に環境問題を先送りすることはできない」と訴えた。この2年間の応募増という傾向は、こうした意識が社会全体にも広がっていることの表れと言えるかもしれない。プレジデント社は、これからも地球環境への思いを共にする皆さんと手を携えながら、当コンテストを通じて、持続可能な人類と地球環境に向かうムーブメントのきっかけを模索していきたい。
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