学校のワークはどのように学習すればよいのか。カリスマ塾長の齋藤明さんは「『できない』を『できる』ようにすることこそが本当の意味での勉強だ。ワークの1回目は、解ける問題と解けない問題の仕分け作業なので、不正解が多いことは、気にしなくてよい。大事なのは、その後だ」という――。

※本稿は、齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)の一部を再編集したものです。

教室で勉強をしている学生
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中学生の勉強の王道。基本は学校のワークの反復!

定期テスト前にどのように学習していくのか、詳細を見ていきます。

まずは、学校のワークです。

たとえば各教科、5教科の学校のワークがあるとしましょう。

塾で、学校より先取りしている教科に関しては、それに合わせて学校のワークを進めておきましょう。

反復の際に重要なのが、「間違えた問題」のチェックです。

図表1のように、問題の横にチェックを入れておきましょう。

先にもお話ししましたが、ワークを解くのが2回目のときには、1回目にチェックをつけた問題のみを解きましょう。2回目も解けなければ、またチェックをつけます。

同様に、ワークを解くのが3回目のときには、チェックが2つついている問題だけを解きます。

1周目には時間がかかるでしょうが、2周目、3周目は、チェックがついている問題だけを解くので、徐々に反復の時間は減っていくことでしょう。

効率よくワークを進めるにはコツがある

ここからは、ワークを解く際のポイントをお伝えしていきます。

ここでは、1つの例として、英語や数学を塾で先取りしていて、国語や理科、社会は先取りしていないことを前提に説明していきます。

英語や数学は、3週間前に1周目を終わっている状態を目安に解きましょう。

2周目の時期は、3週間前~2週間前。3周目の時期は、2週間前~1週間前。

3周目は、早く終わることも考えられます。

その際には、2冊目、3冊目として、塾のワークや市販のワークに取り組んでみてください。

2冊目は、学校のワークと同じレベルのワークをお勧めします。同じレベルのワークであれば、学校のワークの類題が多く掲載されているでしょう。

3冊目は、学校のワークよりレベルが上のワークをお勧めします。偏差値70超を目指すには、定期テストの勉強を通して本当の実力をつけていく必要があるからです。

1週間前~当日は、2冊目、3冊目で、問題演習を増やしていきましょう。

学年1位を目指すなら2冊目、3冊目は必須

実際、学年1位や偏差値70超を目指すのであれば、定期テスト期間のどこかのタイミングで、2冊目、3冊目を解くことは必須だと私は考えています。

学校のワークで精いっぱいの人も、せめて苦手な単元だけでも2冊目として市販のワークを解いてみるなど、工夫をして、演習の量を増やしてみてください。

国語や理科、社会の学校のワークは、3週間前~2週間前に1周目が終わっているといいでしょう。

英語や数学と違ってワークの1周目が終わるのが遅いのは、塾で先取りをしていないという前提だからです。

学校のペースに合わせていては間に合いませんので、早めに終わらせるために、自分で学校の教科書を音読して、ワークを解ける状態にしておきましょう。

勉強をしている中学生
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2週間前~2週目、1週間前~3週目

2週間前~1週間前で2周目、1週間前~前日までに3周目というのが目安となります。

ただし、もし苦手教科がはっきりしている場合には、英語や数学と同じように、3週間前には学校のワークを1回終わらせておくといいでしょう。

その際、不正解が多いことは、気にしなくてかまいません。

大事なのは、その後です。

2周目、3周目と繰り返す中で、間違いのチェックが減っていけばいいのです。

3回で完璧になるとは限りませんから、4回、5回と完璧に覚えて解けるようになるまで繰り返すことを意識してください。

ちなみに英語や数学と同様に、2冊目は学校のワークと同レベルのワーク、3冊目は、1、2冊目より高いレベルのワークを解くことをお勧めします。

コンスタントに偏差値70超をとる生徒たちを見ていると、そのような勉強をしている子がほとんどです。

ワークを解く際に「してはいけないこと」

ここで、ワークを解く際に「してはいけないこと」を紹介することにしましょう。

① 教科書を見たり、調べたりしながら解いて、すべて○にする

学校のワークに×をつけることを嫌がる子が一定数います。

「学校の先生に、勉強ができないと思われたくない」
「ワークにたくさんの×がついていたら、評価を下げられるかもしれない」

と思っているのかもしれませんね。

しかし、これではワークを解く意味が半減してしまいます。

安心してください。

×がたくさんあっても、学校の先生は評価を下げることはしません。

むしろ、不自然な形ですべて○となっているワークのほうが、評価を下げられてしまうことすらあるのです。

そもそも×がつくのは、決して悪いことではありません。

できない問題を発見し、そこを繰り返し解くようにしましょう。

そして、チェックは目立つように、問題番号の横に大きく書きましょう。

「できない」を「できる」ようにすることこそが本当の意味での勉強なのです。

② 何ページもまとめて○つけをする

10ページ以上、まったく○つけをすることなく解き続ける子がいます。

でも、その間に同じ間違いをしていたら、10ページ分の問題を解く時間がムダになりますよね。

効率よく勉強し、かつミスを減らすためにも、2ページ~4ページ解いたら、○つけをしましょう。その際は、保護者の方に頼んでみるのもいいでしょう。

バツ印が描いてある吹き出しを持つ女の子
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解説を読むものと読まないもの

③ ○つけだけをして、答えを書かない

答えを書かなければ、当然、覚えることはできません。

解答欄か、その近くに正しい答えを書くようにしましょう。

また、一度書いただけで語句を覚えるのは困難です。

ノートに何度も語句を書くか、書いた答えを緑ペンで塗って、赤シートで隠してアウトプットができるようにするのも1つの方法です。

④ 答えだけ書いて、解説を読まない

理科や社会の語句を覚える問題であれば、解説を読む必要はありませんが、数学や理科の計算問題など、理解が必要な部分で間違った場合には、解説をじっくり読むようにしましょう。

⑤ 解くことに時間をかけすぎて、反復する時間が足りなくなる

テストまでに1回しかワークを解き終わらない子がいます。

その場合、いくつか要因が考えられますが、その1つが、時間をかけすぎているケースです。

齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)
齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)

たとえば数学なら、1問に5分考えて答えが出なければ、次に進みましょう(5分と書きましたが、問題によっては3分でもかまいません)。

ただし、文章問題を読まずに、解けそうもないからと最初から答えを見たり、解説を読んだりするのはやめましょう。

ワークの1回目は、解ける問題と解けない問題の仕分け作業だと考えてください。

以上、ワークを解く際に「やってはいけないこと」を見てきました。

頭ではわかっていても、ついついやってしまいがちなことなので、ここでお話ししたことをしっかり覚えておきましょう。