※本稿は、中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
「転職エージェント」に登録する
転職しようかな、と考えたら、まず何から始めれば良いでしょうか?
IndeedやリクナビNEXTのような「転職サイト」で、とりあえず自分に合いそうな求人を探してみるのも「あり」ですが、転職への本気度が高いなら、まずは「転職エージェント」への登録をお勧めします。
転職エージェントとは何か、ピンとこない人もいるでしょう。
登録すると、担当(キャリアアドバイザー)が一人つきます。担当となったキャリアアドバイザーが、求人情報の提供や面接の調整、年俸交渉まで、転職全般をサポートしてくれるというサービスです。代表的なものとしてリクルートエージェントやビズリーチがあります。
一方、既述のリクナビNEXTといった「転職サイト」は、たくさんの会社から求人広告を集めて掲載しているサービス。利用者は、必要情報を登録した後に、自ら(掲載されている求人に)応募していくというものです。
今は転職エージェントと転職サイトの双方が登録情報を共有するなど、乗合いしていることもあり、境目や違いがわかりにくくなっていますが、まず両者の特徴を理解しておきましょう。
誰でも利用できるわけではない
転職エージェントは、転職希望者は原則無料で使えます。至れり尽くせりのサービスと言えます。
ただ、誰でも利用できるものではないのが最大の難点です。
というのも、このサービスは、転職希望者の採用が決まった場合、求人を出した企業から想定年収の30%前後を、転職エージェントが手数料としてもらうしくみで成り立っています。
たとえば年収400万円であなたの採用が決まったら、約120万円の手数料が動きます。
それなりに高額なので、会社が対価を支払う価値があると認める「売れる人材」しか取り扱わないのがセオリーです。
ただし、若手だと「未経験でもOK」という求人を扱っている場合もあります。「私なんて、アプローチしてもどうせダメだろう」と自己判断せず、まずは登録から始めましょう。
できるだけたくさん登録する
まず、自分に合った転職エージェントを探すことから始めます。
前述のリクルートエージェントなど、ありとあらゆる求人を取り扱う「総合デパート型」、会計人材に特化した「MS Agent」など「専門特化型」のように、転職エージェントごとに特徴があります。
とはいえ、転職の専門家ではない皆さんが、そのカテゴリーの違いを十二分に理解する必要はありません。要は、自分に合った求人を紹介してもらえるエージェントにたどりつけばいいのです。
実は、これはググれば簡単に見つかります。
たとえば、
・「職種」との組み合わせ
「営業 転職エージェント」、「経理 転職エージェント」など
・「地域」との組み合わせ
「大阪 転職エージェント」、「名古屋 転職エージェント」など
・「年代」との組み合わせ
「20代 転職エージェント」、「30代 転職エージェント」など
遊び感覚で組み合わせてみてググってみてください。
自分に合いそうなところが複数見つかったら、チャネルの多さは成功転職の実現に大きく関わってきますので、可能な限り多くに登録してください。
登録できなかったらどうするか
転職エージェントに登録できると、エージェントから求人を紹介されます。
たとえば「A商事に打診しますので、キャリアシートを9月15日までに提出してください」といったように指示してきます。それに従って進めていくことになります。
一方で、複数のエージェントにアプローチするも門前払いが続いた場合は、あなたは転職エージェントが取り扱うべき人材ではないということです。
厳しいですが、この現実をしっかりと受け止めた上で、公開求人に応募していく作戦に切り替えましょう。
なお、高額の報酬が動くこともあって、登録希望者の数%しか登録できないところもたくさんあります。個人情報の問題もあり、「今すぐは売れないが将来は有望な人材」であっても、情報をあえて抱え込まないようにしているので、登録できなかったからと言って悲観する必要はありません。
あくまでゴールは、自分に合った会社に転職することです。転職エージェントに登録することではありません。
筆者のクライアントでも、登録はできなかったが、成功転職できた人はたくさんいらっしゃいます。
キャリアアドバイザーの本質は「営業」
転職エージェントに登録できると、担当のキャリアアドバイザーが付きます。「自分に合った求人を紹介してくれて、面接指導や報酬の交渉までして転職に導いてくれる素晴らしい味方、まるで天使!」と思っている人が多いようです。水を差すつもりはありませんが、これは半分的外れです。
確かにあなたの転職をサポートしてくれますが、彼らの本質は「営業」と言っても過言ではありません。求職者と求人企業をマッチングさせないと手数料が入ってきません。
もちろん、ノルマもあります。
そのため、あなたの意向と違う求人を強く勧めてきたり、「このチャンスを逃すと、後はありませんよ」と、圧力をかけてくる人も少なからずいるという実情を知って免疫をつけておきましょう。
付いた担当とうまくやっていくしかない
転職エージェントによりますが、仮に担当とどうも合わない、気に食わないとしても、他の担当に替えてもらえるのはレアケースです。
つまり、付いた担当とうまくやっていくしかないのです。
「でも、私とマッチしそうにない企業を数字欲しさに勧めてきたりするんでしょ?」と心配になるのは当然です。
とはいえ、担当も基本的にはマッチするところに転職させたいという気持ちで動いています。転職させたけどマッチせずすぐ退職されたというケースばかりになっては評価も下がり食っていけないのですから、ベクトルは同じはずです。
担当には担当の立場もあります。そこを理解しつつ、たとえば「これは許容できるが、これだけは譲れない」といった条件面を正確に伝えるといった良質なコミュニケーションを図っておきましょう。
それでも行き違いが起きたり不信感が増すなら、他のエージェントにシフトするか、並行して公募にも取り組むことも検討してください。
ネガティブな側面にも触れましたが、彼らは転職支援を事業としている会社なのです。転職に関するノウハウも実績も、そして求人情報も豊富に保有しています。
ぜひ彼らのリソースを最大限に活用できる関係性を築いて、成功転職を勝ち取りましょう。
「働きやすい職場」を見極める
「志望企業から無事に内定を獲得し、いざ入社してみたらブラックだった」、という話をよく耳にします。
働き方や処遇等、本人の意向と違えば何でもブラックと烙印を押す人もいるので、すべて企業側に問題があるとは言えませんが、やはりミスマッチは双方にとり得策ではありません。
「求人情報には『風通しの良い社風』と書いてあったのに実際は全然違った」といったリアルな情報を事前に得られればいいのにと思うのは当然です。
さて、どうすればいいでしょう?
口コミサイトは信ぴょう性の怪しいケースも
メジャーなのが、「キャリコネ」や「転職会議」といった転職口コミサイトの情報です。
実際に勤務している(していた)人達のリアルな情報が集まっているので、見ておくべきでしょう。
ただ、こうした匿名の口コミはネガティブなものが多く、信ぴょう性の怪しいケースがあるので、情報をどう受け止めるか、ご自身でしっかり判断すべきです。
面接官や面接会場の雰囲気ではわからない
「面接官に圧迫質問された。ここはブラックだ」と決めつけるのは、よくあることですが、早計です。
確かに会社を代表する人ですから、その所作や言動は注目に値します。
ただ、面接官も時には嫌われ役に回らなければならないシーンもあります。
また、「面接会場の雰囲気が良かったし、先輩社員の対応も良かった。良い会社だろう」も早計です。
企業側は、迎え入れる準備をしっかりしていますから、本質が見えるとは限らないのです。
社風が良くても、「配属先の先輩が超苦手なタイプ」といったケースもあり、実際に働いてみないとわからないのが現実です。でもこれでは身もフタもありません。
そこで、実際に勤務している社員や元社員から直接話を聴くのが最善です。今やSNSで老若男女問わず、誰もがつながれる時代ですから、そうした人を探し当てるやり方をお勧めします(筆者は特にビジネスユースOKのLinkedInの活用を推奨します)。