「逆質問」がきっかけで評価が変わることも
面接の終盤では、必ずといっていいほど面接担当者から「何か質問はありますか?」と聞かれます。
応募者が疑問や不安を持っていないか確認することが主目的ですが、その人の「仕事への感度」「自社への興味レベル」「入社意欲」などを探ろうとする意図も含まれています。
ここで「特にありません」で済ませると、興味や意欲が低いという印象を持たれてしまう可能性があります。
逆に、気の利いた質問ができると、評価がアップすることも。また、その質問をきっかけに話が盛り上がり、あなたの魅力が伝わることもあります。つまり、質疑応答でうまくアピールできなかったとしても、ここで一発逆転も狙えるということです。
面接の受け答えは、その場で機転を利かせられるかどうかによっても評価が左右されますが、逆質問であれば事前に準備することが可能です。きっちりと準備をしておきましょう。
もちろん、応募者にとっても、逆質問する本来の目的は「自身がその会社を深く理解すること」です。自分にフィットする会社であるかどうかを見極めるためにも逆質問を活用してください。
「この質問はこの人にすべきか」を意識する
面接担当者にマイナス印象を与えてしまう質問とはどんなものなのでしょうか。「NG」の一例をご紹介しましょう。
NG① 聞くべき相手を間違えている質問
大前提として、質問内容そのものはNGではなくても、聞く相手を間違えると印象ダウンにつながります。
例えば、役員や社長が相手の最終面接で「仕事の進め方」「人事制度」などの詳細を聞くのはNG。仕事の進め方であれば現場担当者(配属予定部門の上長)、人事制度は人事担当者に聞きましょう。逆に、中長期のビジョンは経営陣に質問するなど、面接担当者の立場を考慮して質問を選ぶことが大切です。
NG② 「条件」「待遇」に関する質問
条件や待遇面が気になる気持ちはよくわかります。しかし、面接担当者にしてみれば、「質問はありますか?」と聞いて返ってくる第一声が「給与は……」「残業は……」「○○手当は……」では、がっかりするでしょう。「この人は仕事のことより、それが気になるのか」と。
また、聞き方によっては「権利主張する人」という印象を与え、警戒されてしまうかもしません。
自分が享受するメリットに関する質問よりも、「入社後に活躍・貢献するために理解しておきたいこと」の観点で質問を選ぶよう意識してください。
NG③ 企業ホームページを見れば答えがわかる質問
企業ホームページに記載されていることを質問すると、「会社のことを研究していない」=「意欲に欠ける」という印象を与えてしまいます。
「情報収集力」が求められる職種であればなおさらマイナス評価につながるでしょう。
NG④ 抽象的な質問
「仕事は厳しいですか?」など、人によって判断基準や感じ方が異なるような質問はNG。また「将来の経営ビジョンは?」なども漠然としていて、相手はどの観点で答えればいいのか悩んでしまいます。
NG⑤ 細かく突っ込みすぎる質問
「そこまで細かく聞いて何の意味があるの?」と思われるような質問をする方も見受けられます。例えば、「御社の財務諸表のこの数値は~」など。また、平均残業時間や有給消化率、離職率といったネガティブな指標に関する質問は、内定が出てからじっくり確認することをお勧めします。
細かく調べてきたことをアピールしようとして、重箱の隅をつつくような質問をしないようにしましょう。
「入社後の活躍イメージ」が描ける質問が◎
では、面接担当者に好印象を与える逆質問とは、どういうものでしょうか。
一言でまとめるなら、「この質問をすることで会社や仕事への理解が深まり、活躍イメージが描ける」質問です。ポイントを3つご紹介します。
① 仕事に取り組むシーンのイメージをつかむための質問
現場の管理職レベルの面接では仕事の仕方・進め方に関する質問をすると、「本気でうちの会社で働こうとしているのだな」という意思が伝わりやすくなります。
また、「採用背景」について、求人情報に記載されていなければ聞いてみるといいでしょう。なぜ自分が必要とされているのか、自分にどんな役割が求められているかを理解しようとする姿勢は、面接担当者から見ると頼もしく感じられるはずです。 メンバークラスの採用であれば現場の管理職、マネジャークラスの採用や新規事業メンバーなどの採用であれば役員面接で聞くといいでしょう。
● 個人の目標は、どのように設定されるのですか
● 「○○」に関する情報は、どのような形で共有されているのですか
● ○○の管理には、どのようなツールを使っているのですか
● 他部署とはどのように連携していますか
● 今回、どのような理由でこのポジションを募集されたのですか。このポジションにどんな役割・成果を期待していますか
② 会社のカルチャーを知るための質問
「社風になじめるか」「価値観を共有できるか」は、面接担当者も気にするところ。逆質問によって理解を深めましょう。人事担当者や現場担当者との面接で、次のような質問を投げかけてみてはいかがでしょうか。
● 社員の皆さんは普段、どのようにコミュニケーションをとっているのですか
● 社員の皆さんは、どんな性格タイプの方が多いのですか
● ○○社長はどんなお人柄なのですか
なお、こうした質問に対して面接担当者が楽しそうに話すようであれば、社内の雰囲気は良好と判断していいでしょう。
③ 長期的視点で取り組む意欲を感じさせる質問
特に、リーダーやマネジャーなどのポジションを目指す方であれば、事業部長~役員クラスが相手の面接では、長期的な視点・高い視座での質問を心がけるといいでしょう。ただし「今後の事業展開は?」といった曖昧な聞き方ではなく、具体性を持たせて今後の計画を聞いてください。
● このサービスは現在○○を対象とされていますが、今後ターゲット層を広げていく計画はありますか
● 競合他社では○○などのオプションサービスを提供する動きがあるようですが、御社では今後新しいサービス展開を検討されていますか
このとき、「私はこれまで○○を手がけてきましたので、その経験を生かして○○分野への展開もできるのではないかと考えています」などと付け加えれば、評価アップにつながる可能性があります。
公式サイトや採用情報サイトは目を通しておく
以上、3つの方向性の「OK質問」をご紹介しましたが、これらの質問も「公式サイト・採用情報サイトを読めばわかること」に含まれている可能性があります。可能であれば、面接前に最低限、公式サイトと採用情報サイトは読み込んでおきましょう。なるべくならSNSでの発信、メディアの記事なども目を通しておくことをお勧めします。経営陣が相手の最終面接なら、経営者個人のSNSもチェックしてみてください。
これらを読めば、「気になるネタ」も発見できると思います。「○○にこう書かれていましたが~」と、具体的に掘り下げる質問をすれば、「ちゃんとうちの会社のことを調べた上で興味を持ってくれている」と好印象を持たれるでしょう。
マイナス印象を与えない「条件・待遇」の聞き方
先ほど、条件・待遇に関する質問は避けたほうがいいとお伝えしました。とはいえ、条件・待遇面も当然気になりますよね。
転職エージェントを介して応募する場合、これらの質問は転職エージェントに聞けば確認してもらえます。自主応募の場合は、次のような聞き方をすればマイナス印象を与えることを避けられるでしょう。
● 企業側から聞かれたタイミングで答える
条件面は選考プロセスのどこかのタイミングで人事担当者から聞かれるはずです。それに答える形で要望を伝えたり質問したりしましょう。相手から聞かれた項目とは別の条件・待遇について聞きたい場合も、このタイミングで「ついでに確認」という流れで質問することをお勧めします。
● 先に「仕事」について質問する
企業側から聞かれるまで待っていられない、早い段階で確認したい……ということもあるかと思います。
その場合、「質問はありますか?」と聞かれたとき、まずは上記で挙げた「仕事」に関する質問をして、そのやりとりが終わった後、「もう一つ、確認しておきたいことが……」と切り出すといいでしょう。「仕事」を最優先事項とする姿勢を見せてください。
なお、コロナ禍以降は「テレワークはできますか」という質問をする人も増えました。質問そのものはNGではありませんが、今はまだ多くの会社がテレワークと出社の最適なバランスを模索している状態です。
会社側の事情を考慮せず、「どうしてもテレワークがしたい。できますか」と主張するのは控えてください。この場合、「コロナ禍ではテレワークを導入されたのですか。今後はテレワーク制度を運用していかれる予定はありますか」などと投げかけるといいでしょう。
どのような逆質問をするにしても、その質問をすることで「権利主張」と捉えられるような聞き方は避けたいものです。企業側の事情にも配慮することを忘れないでください。