※本稿は、戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
子育てに口を出すお義母さんへの怒りをどうにかしたい
「否定された」と、重く受けとらない
子育ての先輩として助かるアドバイスもあるものの、あれこれ口を出されると、うんざりすることのほうが多くなりますよね……。
お義母さんが子育てをしていた時代とは違うのに、「これが正しい」と押しつけられると、自分の子育てが否定されたように感じて怒りもわいてしまうでしょう。
ただ、お義母さんからすると、「孫がかわいい」という思いと、子育てをしてきた自分の経験から、よかれと思って言っていることが多く、あなたが怒りを感じていることにも気づいていない可能性があります。
この場合に避けたほうがいいのは、反射的に反応してしまうことです。
「また言われた」と感じると怒りは増幅しやすいので、ついイラッとした気持ちが顔に出てしまいます。
毎回我慢してストレスがたまると感じているなら、物理的に義実家へ行く頻度を少なくするのもひとつの手でしょう。
電話口で干渉するようなことを言われたときに備えて、電話を切るための切り返しパターンをいくつか用意しておくのもおすすめです。
たとえば、「あ、宅急便が」「○○(子どもの名前)が呼んでいるので」「友人が来ているので、長くお話しできないんです」、または「そういえば、○○(子どもの名前)が●●できるようになったんですよ。お義母さんに報告したくって」と話を変えてしまうのもいいでしょう。
口で言わずにかわせる手段を用意する
たとえば同居の場合、直接「子育て方針があわない」と言うと角が立つので夫を介して「いまは子育ての仕方が変わってきているんだ」と伝えてもらったり、自治体が発行する「祖父母手帳」などを取り寄せるのもおすすめです。「よりよい子どもを育てる環境をつくりましょう」というメッセージや、新しい情報を伝える祖父母向けのマニュアルです。昔と現在の子育てでは、明確に異なることも多々あるので、自分の口であれこれ言わず、何かを渡すという手段をとるのも良好な関係をつくる秘訣です。
怒りをため込む人は、悩みをより深刻化させ、自分を被害者側に持っていってしまう傾向があります。頑なになればなるほど、解決はできなくなりますし、関係性も悪くなってしまうものです。
感情を直接相手にぶつけ返すのではなく、うまくかわせるようになることも大切なのです。
怒りと距離を置く・かわす方法を身につけましょう
いつもマウンティングしてくるママ友がうっとうしい
相手のペースに乗らない
相手よりも、優位に立とうとマウンティングしてくる人がいますね。
私も、たまに遭遇すると驚いてしまうことがあります。
じつは、マウンティングは、自分に自信がないからしてしまう行為なのです。
他人を下に見て、馬鹿にし、自分が優位に立つことでしか自分の自信を保てない人だということです。
そうとらえると、「寂しい人だな」と思いませんか?
反撃したい気持ちが芽生えても、ママ友との関係が悪化することで子ども同士の仲にも影響してしまうのでは、という心配からグッとこらえているママもたくさんいらっしゃることでしょう。
頭にくることもありますが、マウンティングされたときに一番いいのは相手にしないこと。
落ち込んだり、イラッとしたり、いちいち反応することのほうが、相手の思うツボです。ママ友とは、できれば下手にトラブルを起こしたくありませんよね。適度な距離をとり、あまり接点を持たないようにするのが得策です。
相手と同じ土俵に立たない
「うちの夫は○○に勤めているけど、△△さんのご主人って聞いたこともない会社にお勤めなのね。そんな会社があったの知らなかったわ」
「○○ちゃん、習い事してないの? かわいそう~。うちの子なんて、週に3回も習い事しているのよ」
こんなふうに、ママ友から何か嫌な発言をされたら、聞き流してしまいましょう。
何か仕返ししたくなって、マウンティングするママ友について「どれだけ嫌な人なのか」を周りに言いふらし、ほかの人たちが嫌うように仕向けようとする人もいますが、これはやめたほうがいいでしょう。
どれだけその人がダメなのかを言いふらすという行為は、自分もマウンティングする人と同じレベルの行動をしているようなものです。
そうなると、「あの人も困った人だね」と周りからの評価を下げることになってしまいますので、気をつけたいですね。
マウンティングしてくるママ友と、同じ土俵に立たないこと、わざわざ相手にしないことが、相手に一番ダメージを与える対処法になります。
まずは一回、スルーしてみましょう。スルーしているうちに、だんだん気にならなくなってきますよ。
マウンティングに乗らない! スルースキルを身につけましょう
子どもを連れていると、やたらと「かわいそう」と言われ頭にくる
気になる言葉を受け流す力を鍛える
相手はよかれと思ってした発言でも、言われたほうは自分を否定されたように感じてしまうことがありますよね。そんな相手に遭遇したら、とにかく受け流しましょう。
自分を基準に「~したほうがいい」と、口を出してくる人はどこにでもいるもの。
そんなとき、「余計なお世話」といちいちイライラしていると、自分が疲れてしまいます。
たとえば、今回のようなケースなら、
「靴下を履いていなくてかわいそう」
→「靴下を嫌がるんですよ」「すぐ脱いじゃうんです」
「抱っこひもが窮屈そうでかわいそう」
→「最近のものは親と密着できるつくりなんですよ」
「朝早くに保育園に行かされて、かわいそう」
→「うちの子、保育園が好きなんですよね」
このように受け流したり、切り返したりする言葉の引き出しを増やして、とっさのときにも言えるようにしておきましょう。
普段から切り返しの言葉を増やしておく
話しかけてくる人に対して、無視するというのは、さすがに気が引けるものです。
同じ町内や同じマンションであったらなおさら、ご近所の人を無下にするわけにはいかないですよね。あまりかかわりたくないなら、挨拶程度はして、さっさと立ち去るのが得策です。立ち止まってじっくり話をする必要はありません。
相手から何か言われたときに、パッと言葉を切り返すのが苦手な人もいるでしょう。そういったタイプの人は、前述したように、事前に切り返しの言葉を考えて、増やしておくといいですね。
言われたことを思い出して怒りがわいてきたときには、「次に同じことを言われたら、こう切り返そう」というパターンを考えて、複数書き出しておきましょう。
「ひとりっ子じゃかわいそうよ」→ひとりでも授かっただけで大満足なんです
「体が小さいけど大丈夫?」→よく動き、よく食べて、元気いっぱいなんですよ
「ママは家にいなきゃだめよ」→わが家は外に出ることに大賛成なんです
「嫌いなものも食べさせなきゃ」→まずは食べることに興味を持ってもらおうと思って
「昔はアレルギーなんてなかったわよ?」→そうみたいですね。いまは28品目もあるんですって
自分の「べき」で他人に干渉してくる人は、電車の中や道での通りすがりにもいるかもしれません。そういった人たちに対しては、「もうおつきあいのない人だ」と割り切って、聞き流すのがいいでしょう。困った人にいちいち気をとられて、悶々としてしまう時間のほうがもったいないのです。
受け流せる言葉をたくさん用意しておきましょう