清掃のプロは家でどんな掃除をしているのでしょうか。羽田空港でたった一人の「環境マイスター」として、環境整備に貢献する新津春子さんが実践する“室内の掃除のコツ“を紹介します――。

※本稿は、新津春子『1カ月に1回物を動かせば家はキレイになる』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

入り口にたくさんの靴
写真=iStock.com/Toru Kimura
※写真はイメージです

玄関の掃除で気を付けるべき場所

玄関は、湿度の高い場所です。除湿剤を置いて、においやカビを予防しましょう。

市販の除湿剤でなくても、重曹の粉を置いておけばOK。小さな容器に重曹を入れて、口の部分に穴を開けたラップやストッキングを被せておくと、倒れても安心です。目安として、半年に一回交換してください。

下駄箱の棚に新聞紙を敷いておくと、消臭効果があり、掃除もラクにできます。新聞紙がなければ、包装紙やカレンダーの紙を使っても構いません。

わが家では、玄関にハーブやハッカ油を置いて、香りを楽しんでいます。虫除けにもなります。

玄関まわりが散らかって、嫌な臭いがしていたら、好印象を持たれないだけでなく、周囲にも迷惑をかけてしまいかねません。私も、玄関をキレイにすることは大切だなと思います。

リビングのラグやマットはこまめに洗濯を

フローリングの場合、ラグやマットの上にテーブルを置いて使っていることが多いと思います。その時一番汚れやすいのが、下に敷いたラグやマットです。

こぼした食べ物や飲み物などで汚れやすいうえ、裸足で踏むことによって、汗や皮脂で汚れて、においも出てきます。冬場のコタツも同じですね。

ラグやマットは、こまめに干すことが必要です。絡んだ髪の毛や糸くずなどは、布団たたきにブラシが付いたものが売っているので、それを利用すると便利です。または、掃除機を使って取りましょう。

わが家は1カ月に1度、マットを洗濯して交換しています。繊維でできたものはにおいを吸い込み、汚れてくると色も変わってきます。ダニも出てくるので、頻繁に干したり洗濯したりしましょう。

カバーを使いこなそう

ソファーにはカバーを付けると、汚れたらカバーを洗うようにすると簡単です。ビーズクッションやマッサージチェアーは、マルチカバーを使ったり、シングルのタオルケットをかけておいたり。マッサージチェアーは、使う時だけカバーを外します。

カバーは手軽に洗濯できるうえ、イメージチェンジも楽しめます。気分がいま一つの時は、明るい色のカバーに変えるだけでも、部屋の雰囲気が違って見えてくるので、おすすめです。

わが家は結婚した時に薄い色の革ソファーを買ったのですが、汚れやすいのですぐにカバーを付けることに。革製の場合、クリーニング代が高いうえ、クリームを塗るなどのお手入れが必要。直射日光にも弱く、デリケートなので、わが家向きではなかったかも。

和室やカーペットはダニが発生しやすい

フローリング・和室・カーペット・マットはいずれも直射日光に弱いので、日当たりのよい部屋は、カーテンやブラインドで調節したり、敷物で工夫したりする必要があります。

和室・カーペットは表面の凹凸が大きく、ダニが発生しやすいので、こまめに掃除機をかけてください。タテ・ヨコ、双方向にゆっくりと掃除機をかけます。

においや湿気も吸収しやすいので、換気も必要です。フローリングの家の場合でも、各部屋にマットを敷いている場合は同様です。

汚したときのお掃除のコツ

また、和室・カーペットはシミが付きやすいので、何かをこぼした時はすぐにぬるま湯で拭き、乾いたタオルで水分を取ってください。その時、最初に洗剤を使わないこと。

例えば、ワインのような濃い色の飲み物をこぼした場合でも、まずぬるま湯をスプレーでかけて、タオルで水分を取ります。たたかずに吸い取ってください。どうしてもあとが残る時に、食器用洗剤や洗濯用洗剤を使ってください。

カーペットにワインをこぼす
写真=iStock.com/Eskemar
※写真はイメージです

すぐ対処できるように、普段から取り出しやすい所に掃除用のタオルなどをまとめておくといいですね。わが家では、着古したシャツやパジャマ、下着などは使いやすい大きさに切っておき、使ったら捨てられるようにしています。

掃除のしにくい場所をどう対処するか

① 冷蔵庫

冷蔵庫の扉は、開ける前に手を拭くようにします。それにより、扉に汚れがつくのを防ぎ、衛生面をアップさせることができます。

新津春子『1か月に1回物を動かせば家はキレイになる』(ポプラ社)
新津春子『1か月に1回物を動かせば家はキレイになる』(ポプラ社)

庫内も清潔を保つことが大切ですが、電源を抜いて、中に入っている物をすべて取り出して拭き上げるのはなかなか難しいです。

例えば、今日は扉のポケット部分、明日は上段、明後日は二段目……というように、場所を決めて何回かに分けてキレイにしていきましょう。

外せるパーツは丸洗いします。庫内は冷えているため洗剤がなじみにくいので、お湯を使うのがおすすめです。お湯でパーツを洗ったり拭いたりしたあと、重曹水で拭いて、水拭き、乾拭きをします。

重曹水は、ぬるま湯1ℓに重曹小さじ2を溶かしたもの。重曹水で拭くことで、においもすっきり取り除けます。

わが家では掃除がラクになるように、扉部分の調味料を置くスペースの下にはペーパータオルを、庫内の棚やボックスの底にはカレンダーや新聞紙を敷いています。缶などを置く時も直接置かずにカレンダーの紙を敷き、汚れたらその都度取り換えています。大掃除の時には全交換します。

冷蔵庫の上にも新聞紙を敷いて、1カ月に1度交換しています。

冷蔵庫は放熱しているので、上部の面は空気中の油が付着しやすく汚れやすい場所です。料理をしている時に換気扇を動かしても、油分を含んだ空気は室内に漂います。

また、わが家では節電対策として、冷蔵庫の中にビニールカーテンを取り付けて、冷気を逃げにくくしています。百円ショップのものを使っています。

② 照明やスイッチ

照明などのスイッチまわりは、最も汚れやすい場所の一つです。

最近はリビングとキッチンがひとつながりになっている家が多いと思います。

ドアがなくても、仕切りの枠が壁に付いていませんか?

枠の部分は、普段、気に留めない場所ですが、付近に照明のスイッチなどがあるので手で触れやすく、汚れていることが多いので、チェックしてみてください。

また、室内の壁に取り付けられたインターホンとその付近も、手で触れたり、それに向かって話したりするため、汚れやすい場所です。いずれもこまめに拭くようにしてください。

食器棚は、冷蔵庫と同じように、よく触れる扉を拭いてください。棚の中は、市販の食器棚シートを活用するといいですね。

毎日使う水回りは効率的に掃除しよう

キッチンで料理をした後は必ず、ガス台や調理台、ごみ箱、冷蔵庫などの表面を拭きましょう。濡れた手であちこちに触って、汚れがついていることがあります。濡れていたら必ず拭き取ってください。

水拭きでいいので、すぐに拭くことが大切です。それによって、汚れがすぐ落ち、雑菌の広がりも防げます。

シンクの掃除も、食器などを洗ったついでに済ませてしまいましょう。食器用洗剤とスポンジを使って、シンク全体を洗います。排水口はブラシでなでるように、汚れを落としてください。

自炊をしない人でも、シンクはよく使うのではないでしょうか。シンクを使う前には必ずシートを置いて使いましょう。シンクに傷がつきにくくなります。

くわえて、できるだけ毎日洗いましょう。シンクをこまめに掃除できない場合は、排水口の中の水がたまっている所に、食器用洗剤を少し(原液の場合は小さじ半分程度)入れておきます。それによって、汚れがつきにくくなります。

配管の中で油分が固まって、水が流れなくなってしまうこともあります。キッチンのシンクは油分を含んだものを扱うことが多いので、必ず洗剤を使って洗い流すようにしてください。

また、熱湯はそのまま流すと配管が傷んで、トラブルにつながることも。キッチンで多く使われている塩ビ管の耐熱温度は、約60~70℃です。水と一緒に流すなど、温度を下げて流しましょう。

生活用品以外の掃除法

趣味の物は、生活用品と違って、毎日使わない場合が多いと思います。自分にとってしっくり来る場所に置き場所を定めて、棚に収めます。間取りに余裕のある人は、一室を趣味の部屋にして、その部屋の棚に関連の物をすべて収めるのもいいですね。棚に収まらないような形・サイズの物は一か所にまとめて置き、長い物は寝かせましょう。

ホコリを防ぐため、棚にはカバーをかけてください。また、空気を循環させることも必要です。扇風機を使って、一日一時間だけでも風を通すと、革製品や紙の資料などもカビの発生や変質が防げます。趣味の物は、こまめに見てあげることが大切です。見ることで、ホコリや湿気、臭いなど、問題が起きる前に変化に気づいて対処できます。

ぬいぐるみはホコリを被りやすくダニが出やすいので、汚れてきたら洗いましょう。私は、繊細な物やクタッとした感じの物は手洗いしていますが、その他は洗濯機で洗っています。二重にした洗濯ネットに入れ、隙間があればタオルを詰めて型崩れを防ぎます。

長期間しまっておく場合は真空保存がおすすめです。洗って干したあと、圧縮袋に入れて真空パックにして保管します。

わが家はぬいぐるみの数が多いので、よく抱きかかえる物以外は、夏用と冬用に分けて、「今度はこっちの番だからね」と入れ替えています。和室の押し入れの中身は全部、順番待ちのぬいぐるみです。ネジを巻くと踊るぬいぐるみなど、圧縮できない物は、2、3個ずつケースに入れてしまっています。

また、飾り棚などに並べたぬいぐるみは、換気が必要です。私の場合は“会いたい時は空気を通す日”のようなイメージで、「今日は外の空気を吸いましょうね」と扉を開けて出かけて、夜に「おやすみなさい」と閉めています。

本が多い家は、湿度と温度に要注意

本は、適度な湿度と温度を保つ必要があります。特に、湿度が高いと虫が発生しやすいし、本も変色しますので気をつけてください。

わが家の夫の部屋は、棚に並んでいるのがほとんど本なので、エアコンを毎日つけるようにしています。

書棚の周辺にたまっている目立つホコリを掃除機で吸い取り、1段ずつ本を移動させて、空いた各段を乾拭きしてホコリを拭き取ります。ホコリ取りを使ってもいいですね。しつこい汚れは水拭きで落とし、乾いたら本を戻します。水拭きした場合は、扇風機を1時間ほど当てて乾燥させます。

ブランド品は価値のあるものとして管理を

ブランド品は、一つずつカバーに入れて保管しましょう。ケースは捨てずに取っておき、その中にしまいます。

本体を守ってくれるのはもちろん、ケースだけで売れる価値のある場合もあります。カバンなどは使ったら表面を拭き、しばらく時間をおいて換気してからケースにしまい、ホコリが被らないように保管します。

私はなかなかそこまで管理できないので、ブランド品は買わないし買えないのですが、大切に保管すれば、古くなっても売ることが可能な価値のある物です。

つい集めがちな化粧品は用途を分ける

化粧品のなかでも、持っている数が多いものは口紅でしょうか。

通販で口紅を買った時、どの色もきれいに見えて、つい全種類揃えてしまい、ケースの中がいっぱいになってしまったことがあります。私は化粧ケースを自分で改造して、口紅、眉用、目元用など、用途別に分けて入れるようにしています。

基礎化粧品やクリーム類は、整髪料やブラシ、歯磨き粉などと一緒に、洗面台の横に置いています。ただそこにポンと置くのでなく、大きなお菓子の箱や缶の中に、分類して入れています。

ブラシやクシは手ぬぐいを上に被せて、使う時に外して使っています。それらの箱を低い脚付きの台にのせておくと、洗面台を拭く時に掃除しやすく、箱裏も濡れたり錆びたりしないのでおすすめです。また、上からシャワーキャップを被せれば、ホコリや水はねによる汚れを防げます。

掃除のしかたがわからない物については、「放っておこう」「見ないようにしよう」より、「そのまま置かずに被せちゃおう!」がおすすめです。

私は職場のパソコンにホコリがたまるのが嫌なので、キーボードとモニターにタオルを被せています。簡単な汚れ対策です。