めまいの50%は、耳からくるもの。平衡バランスの乱れが原因で起こります

急に目の前が暗くなる、目が回ったり、カラダがフワフワと揺れる感じがしたり……。そんな「めまい」がふいに起これば、不安になるのは当然。「めまい」とは一体何なのか、専門医であり日本めまい平衡医学会の相談医でもある、許斐氏元先生にお話を伺った。

路上で気分が悪いめまいの女性
写真=iStock.com/AntonioGuillem
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「人間のカラダは、視覚・平衡覚・足裏の皮膚感覚などから得た情報を小脳で自動調節して平衡バランスを保っています。めまいはこのどこかに異常が生じて調節機能がうまく働かず、平衡感覚がズレて起きる症状なのです」

止まっているエスカレーターに乗るとフラッとするのも、足の裏の感触と視覚・平衡覚の予測がズレることで引き起こされるのだそう。では、めまいとはそんなに怖がる症状ではないのだろうか。

「めまいの種類は約30種。8割のめまいは良性でうち50%が内耳(三半規管)からくるもの。多くの原因は心因性や自律神経、女性ホルモンや睡眠の乱れなどが関与しています。ただし1割は危険な脳の病気で、侮ってはいけません」

危険なめまいには脳梗塞や脳出血が原因の場合もある

危険なめまいには脳梗塞や脳出血が原因の場合もあり、高齢になるほど血流不全で増加する傾向に。したがって、若年から中年には起こりにくいと許斐先生。

「ただ、聴神経腫瘍、心臓病などでもめまい症状が現れることがあるので、自己判断は禁物です。また、めまい発作を繰り返したり、ふらつきの後遺症があったりする場合は、治りにくくなる前に専門医に相談することが重要です」

めまいの症状は、大きく分けて2タイプ。「フワフワ系」の非回転性めまいは、血圧異常や、不安・ストレスなどの精神的なものに起因し、頭痛や吐き気を伴う場合も。「グルグル系」の回転性めまいは、多くが内耳に原因があるため、耳鳴りや耳に空気が詰まった感じ、難聴などの症状を伴う場合も。いずれも早期に専門医の診断が必要だ。

近年は、PCやスマホなどを長時間使用する人が急増。首こりによりめまいを引き起こすこともあるため、使用中は適度な休憩と運動を心がけるといいようだ。

めまいの予防法
二子玉川耳鼻咽喉科院長 許斐氏元先生
許斐氏元(このみ・うじもと)
二子玉川耳鼻咽喉科院長
日本めまい平衡医学会専門医。元国際医療福祉大学山王病院東京ボイスセンター准教授、東京医科大学病院耳鼻咽喉科非常勤講師。めまい・音声学・耳科学を専門領域として、声やめまいに関する悩みや不安を持つ多くの患者に寄り添い、適切な治療にあたる。