腸内細菌はカラダの代謝に大きく関わっている。健康的に痩せるには腸内環境を整える“菌トレ”がマスト。

善玉菌を増やし、腸内環境を整えるとカラダは自然に痩せていきます

「甘いものがやめられない」「主食は小麦製品ばかり」「食物繊維が不足している」「ストレスを感じる」という人は、腸内環境の悪化で太りやすくなっている可能性があります。その原因のひとつが、腸管でカンジダ菌が繁殖しているケース。カンジダ菌といえばちつカンジダが知られていますが、実は腸管にもいます。カンジダ菌は日和見菌で腸内環境が良ければ無害ですが、糖質を与えすぎるとそれをエサに爆発的に増え、過食の原因となる低血糖やエネルギー欠乏などを起こします。

腸内環境の悪化は肥満を招く

カンジダ菌が糖を食べると、アラビノースという糖をつくります。これ自体は血糖値を上げませんが、血糖値を下げるインスリンを誘発するため、低血糖状態が起こりやすくなります。さらに、カンジダ菌は酒石酸やシトラマル酸という有機酸もつくり出し、これらが細胞のミトコンドリアでのエネルギー産生を妨げます。

この低血糖状態とエネルギー欠乏によって、十分に糖質を摂っているにもかかわらず、「エネルギーが足りない」と脳が勘違いして、「もっと糖を摂りなさい」と指令を送ってしまうのです。カンジダ菌の好物は、砂糖やコーンシロップ、果糖ブドウ糖液糖、糖質に偏った食事、アルコール(特にビール!)など。抗生剤やピルの内服でも増えます。

パンがやめられないのはグルテンの“麻薬作用”かも

腸内環境を悪化させ、肥満を引き起こすもうひとつの原因が小麦に含まれるタンパク質、グルテンです。最近の小麦は品種改良でグルテンを多く含みます。グルテンは小腸から分泌されるDPP4という酵素でアミノ酸まで分解されますが、分解酵素が十分に生成されないと、グリアドモルフィンという未消化のペプチドのまま小腸から吸収されます。

このグリアドモルフィンはモルヒネと同じ構造を持ち、脳に入り込んで麻薬のような陶酔感をもたらし「もっと食べたい」とさらなる依存を引き起こします。さらに腸粘膜に炎症を起こして下痢やお腹の張り、アレルギー症状が起きることも。ただ、グルテンの反応には個人差があり、絶対悪ではありません。「パンがやめられない」「小麦を食べると強い眠気を感じる」という人は、グルテンを抜いて体調の変化を見るといいでしょう。

痩せ体質の人の腸には酪酸菌が豊富にいることがわかっています。酪酸菌は誰の腸内にもいるごくありふれた菌です。糖質やグルテンの過剰摂取に気をつけながら、図のような習慣を続けると、自然と酪酸菌が増えて痩せ体質に近づきます。

痩せ菌を育てるために始めたい7つの習慣
ドクターの日々の食べ方/有機酸検査を受けてみた