※本稿は塚本亮『「すぐやる」思考法』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
「本当に自分がやったほうがいいのか」を考える
すぐやる人は「自分でやらない」ことの大切さを理解しています。どうやって他人を巻き込んでいくかも考えます。
なぜなら、自分1人でできることには限界があると、知っているからです。何でもかんでも自分でやろうとしてしまうと、当然ながらやることだらけの状態になってしまいます。その中には自分の得意なことも、不得意なことも含まれるでしょう。
得意なことは楽しみながら進めることができる一方で、不得意なことは時間もかかりますし、エネルギーも消耗してしまいます。
「本当に自分がやったほうがいいのか」
こう考えることも選択肢の1つとして常に持っておくことも大事です。
「すぐやる」というのは、自分にとって重要度が高いもの、意味のあるものを先延ばしせずにやることです。何でもむやみにやるものではありません。
それが結果的に人生の質を高めることにつながります。
よほどそれが今後の自分のキャリアにとって、重要な意味を持つものでない限りは、不得意なものにウンウンと考え、乗り越えようとする必要はありません。
不得意なことは心理的な障壁も高いですし、やろうと思っていても、それが故にやる気がおきにくかったりします。結果的に苦手意識がやらなきゃという気持ちに先行して、先延ばしにつながってしまうのではないでしょうか?
苦手なことを自分でやるか任せるか
自分が苦手なものは得意な人に任せること。誰しも「向き、不向き」や「得手、不得手」があります。だからこそ社会も企業も成り立っています。
これはスポーツの世界でもそうですよね。守備がうまい人がいれば、攻撃がうまい人がいる。足の速い人もいれば、誰にも負けない筋力を持っている人がいる。やっぱりそれぞれが違うからいいんですよね。
部下や後輩でも自分より上手にできるものがあれば、しっかり任せたら、お願いすればいい。もちろん、上司と相談して外注に出してもかまいません。
うまく段取りを考えられる人は、自分で抱え込むのは効率が悪いと考えているので、周囲を味方につけて物事を進めることができます。
「自分でできること」と「自分1人ではできないことや苦手なこと」を見極めて、周囲の人の協力が必要な場合には、上手に周囲の人の協力を得て、仕事をこなせばいいのではないでしょうか。
仕事が早い人は教わり上手で周囲を上手く巻き込む
仕事でもプライベートでも教わり上手は人を巻き込むのがうまいですね。
教わり上手はこんな特徴を持っている方が多いように感じます。
・アドバイスをもらったら、つべこべ言わず、まずやってみる
・試してみてどうだったかの報告をする
私は教育機関で仕事をすることが多くあります。私の元へ相談に来る人はたくさんいます。
そのとき、正直なところ、「教えてあげたくなる人、サポートしてあげたくなる人」と「何だか教えたいと思えない人」の2つのタイプがいるのです。
伸びる人と伸びない人の違いもここにあります。「教えてあげたくなる人」は伸びる人でもありますし、すぐやる人になれる素質があるのです。
まずは、わからないことを素直に相談できるかが、伸びる人かどうかの分かれ道になっているようです。
なかには、自分のプライドが傷つくためか、「知らない」と言うのが恥ずかしいと思う人もいます。
そんな人は「わからないことはあとで調べればいいや」という判断をとりがちなのですが、聞けばすぐに解決できるため、そこで相談できる人と差がつくでしょう。
やらない自分の正当化はNG。先入観を捨ててやってみる
また、伸びる人はアドバイスしたら、とにかく素直にやってみます。
なかには、アドバイスを請うわりに、先入観から「それはうまくいかない」と思ったり、自己流にこだわり、行動しない人もいます。
こういった先入観は、「やらない自分」を正当化してしまう、やっかいなものです。
しまいには、相手から「アドバイスしても、どうせやらないもんな」と判断されてしまいます。
こうして巻き込める人をどんどん失ってしまうのです。
そして、伸びる人は、次に会ったときやメールなどで、試してみてどうだったかを報告してくれます。
「アドバイス通りやってみたらうまくいきました」という場合もあれば、「アドバイス通りやってみたのですが、まだうまくいかなくて」という場合もあるでしょう。
先ほどから述べているように、世の中には唯一の正解というものがありません。
うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあって、当然なのです。
いずれにせよ、アドバイスした側からすると、アドバイスを素直に実行する人はサポートしたいなと思います。
うまくいかなかったのであれば、どこで詰まってしまったのかを一緒に考え、次こそはうまくいけばいいと感じるものです。
教えてあげたくなる人は、間違いなく人を巻き込む力を持っています。そのような人になるよう、意識を変えてみてはいかがでしょうか。