「部下やメンバーにお願いするより自分でやった方が早い」そう思った経験はありませんか。実はその思考があなたの決断、行動のスピードを落としているかもしれません。数多くの企業やトップアスリートから支持される教育コンサルタントの塚本亮さんが行動の早いビジネスパーソンになる上で必要な人を巻き込む仕事術のコツを教えてくれます。

※本稿は塚本亮『「すぐやる」思考法』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

オフィスで働く3人のビジネスウーマン
※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

「本当に自分がやったほうがいいのか」を考える

すぐやる人は「自分でやらない」ことの大切さを理解しています。どうやって他人を巻き込んでいくかも考えます。

なぜなら、自分1人でできることには限界があると、知っているからです。何でもかんでも自分でやろうとしてしまうと、当然ながらやることだらけの状態になってしまいます。その中には自分の得意なことも、不得意なことも含まれるでしょう。

得意なことは楽しみながら進めることができる一方で、不得意なことは時間もかかりますし、エネルギーも消耗してしまいます。

「本当に自分がやったほうがいいのか」

こう考えることも選択肢の1つとして常に持っておくことも大事です。

「すぐやる」というのは、自分にとって重要度が高いもの、意味のあるものを先延ばしせずにやることです。何でもむやみにやるものではありません。

それが結果的に人生の質を高めることにつながります。

よほどそれが今後の自分のキャリアにとって、重要な意味を持つものでない限りは、不得意なものにウンウンと考え、乗り越えようとする必要はありません。

不得意なことは心理的な障壁も高いですし、やろうと思っていても、それが故にやる気がおきにくかったりします。結果的に苦手意識がやらなきゃという気持ちに先行して、先延ばしにつながってしまうのではないでしょうか?

苦手なことを自分でやるか任せるか

自分が苦手なものは得意な人に任せること。誰しも「向き、不向き」や「得手、不得手」があります。だからこそ社会も企業も成り立っています。

これはスポーツの世界でもそうですよね。守備がうまい人がいれば、攻撃がうまい人がいる。足の速い人もいれば、誰にも負けない筋力を持っている人がいる。やっぱりそれぞれが違うからいいんですよね。

部下や後輩でも自分より上手にできるものがあれば、しっかり任せたら、お願いすればいい。もちろん、上司と相談して外注に出してもかまいません。

うまく段取りを考えられる人は、自分で抱え込むのは効率が悪いと考えているので、周囲を味方につけて物事を進めることができます。

「自分でできること」と「自分1人ではできないことや苦手なこと」を見極めて、周囲の人の協力が必要な場合には、上手に周囲の人の協力を得て、仕事をこなせばいいのではないでしょうか。

仕事が早い人は教わり上手で周囲を上手く巻き込む

仕事でもプライベートでも教わり上手は人を巻き込むのがうまいですね。

教わり上手はこんな特徴を持っている方が多いように感じます。

・わからないことをわからないと言えて、素直に質問ができる
・アドバイスをもらったら、つべこべ言わず、まずやってみる
・試してみてどうだったかの報告をする

私は教育機関で仕事をすることが多くあります。私の元へ相談に来る人はたくさんいます。

そのとき、正直なところ、「教えてあげたくなる人、サポートしてあげたくなる人」と「何だか教えたいと思えない人」の2つのタイプがいるのです。

伸びる人と伸びない人の違いもここにあります。「教えてあげたくなる人」は伸びる人でもありますし、すぐやる人になれる素質があるのです。

まずは、わからないことを素直に相談できるかが、伸びる人かどうかの分かれ道になっているようです。

なかには、自分のプライドが傷つくためか、「知らない」と言うのが恥ずかしいと思う人もいます。

そんな人は「わからないことはあとで調べればいいや」という判断をとりがちなのですが、聞けばすぐに解決できるため、そこで相談できる人と差がつくでしょう。

やらない自分の正当化はNG。先入観を捨ててやってみる

また、伸びる人はアドバイスしたら、とにかく素直にやってみます。

なかには、アドバイスを請うわりに、先入観から「それはうまくいかない」と思ったり、自己流にこだわり、行動しない人もいます。

塚本亮『「すぐやる」思考法』(明日香出版社)
塚本亮『「すぐやる」思考法』(明日香出版社)

こういった先入観は、「やらない自分」を正当化してしまう、やっかいなものです。

しまいには、相手から「アドバイスしても、どうせやらないもんな」と判断されてしまいます。

こうして巻き込める人をどんどん失ってしまうのです。

そして、伸びる人は、次に会ったときやメールなどで、試してみてどうだったかを報告してくれます。

「アドバイス通りやってみたらうまくいきました」という場合もあれば、「アドバイス通りやってみたのですが、まだうまくいかなくて」という場合もあるでしょう。

先ほどから述べているように、世の中には唯一の正解というものがありません。

うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあって、当然なのです。

いずれにせよ、アドバイスした側からすると、アドバイスを素直に実行する人はサポートしたいなと思います。

うまくいかなかったのであれば、どこで詰まってしまったのかを一緒に考え、次こそはうまくいけばいいと感じるものです。

教えてあげたくなる人は、間違いなく人を巻き込む力を持っています。そのような人になるよう、意識を変えてみてはいかがでしょうか。