※本稿はAll Aboutモヤフォー研究所『すててもやめてもうまくいく』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。
「一汁一菜」で十分
「一汁三菜」が食卓の基本。主食、汁物に副菜が2品。この組み合わせが一番バランスよ く、過不足なく栄養を取れる形だと習った方、多いかもしれませんね。
でも、働きながら子育てしているママにとって一汁三菜の夕食を毎日作ることはなかなか大変。それでも皆さん、試行錯誤や工夫されていることと思います。短時間でバランスのよい食事が作れる夕食キットの配達を頼んでいる方もいらっしゃいますよね。ただ、
「材料を切るところまでおぜん立てされているのに、疲れてしまって料理ができない」
「宅配の保存ケースが玄関にあるのを見ただけで、作らなきゃと、プレッシャー」
「作れなくて溜まっていくキットを見ると余計に作りたくなくなる」
そんな声を聞くことも。
途中まで用意されていても、特に何品も作れるキットの場合、並んだ材料を前にすると 「しっかり何品も作らなきゃ」という強迫観念に襲われて、料理から逃げ出したくなる方がいるようです。
本当はね、一品でいいんです。キットの中の一品だけ作ってもいいんです。 なぜママたちは、こんなにも一汁三菜と思わされているのでしょう。
一汁三菜は「おもてなし料理」
一汁三菜の原点は、精進料理の「おもてなし」料理です。戦後「専業主婦」という新しい職業ができたことで、家庭料理もこうした新しい役割に見合うレベルに引き上げようと様々な工夫がされてきました。その中で、それ以前の日常の食事とはかなり違う理想型が生み出され、広まってしまった部分もかなりあります。
それまでの日本は「一汁一菜」。特に農家などでは女性も長時間働いているので、料理に時間などかけられませんでした。一汁三菜は、おもてなし料理の形を、家庭に取り入れようとして生まれた理想型。日本の家庭食の原点ではありません。
こうした経緯を知るだけでも、気がラクになりませんか? おもてなし料理は、毎日作る必要ありませんよね。
「シッカリ栄養を取らないと」「主菜も副菜もシッカリ作らなきゃ」と一汁三菜に囚われなくても大丈夫なんです。
もちろん、時間も気力もある時には、食器にもこだわりながらバランスのよい一汁三菜を楽しみましょう。でも基本は「一汁一菜」で十分。汁物の中に野菜をたっぷり入れるなどして工夫をすれば大丈夫。栄養バランスは数日や1週間など、ゆとりを持たせたなかで整えればOK。毎日毎食、頑張り続けなくてもいいんです。
一汁一菜を豪華に見せる魔法
「食卓が寂しい感じになってしまいそう」と気になる方には、品数を増やすという発想から「風景を作る」という考えに変えてみることがおすすめです!
それにはランチョンマットを活用するのがいいですね。食卓に色が加わり、元気な空間になりますよ。子どもに好きなものを選ばせてあげると、ランチョンマットを敷くことを自分の仕事にしてくれたり、片づけに参加するというメリットも。
手間が増えるように思えるかもしれませんが、子どもを食事に参加させる点でも大いに役立つアイテムですよ。
作り置き、キャラ弁、温めなおしを手放す
この3つも料理の思い込みが多いポイントです! それぞれ解説していきますね。
1.作り置き
専用のレシピ本などたくさん出ていますが、私は基本的に作り置きはしません。まず、作り置きをすることで休日の貴重な時間がつぶれがち。溜まった家事は休日にするとしても、次の週のための時間まで割くとなると、子どもとの時間が少なくなってしまいませんか? 貴重な子どもとの触れ合いを、そのために失いたくなかったんです。
その他、日持ちさせるために味付けが濃くなること、似たような味付けや色のものが増えることもあまり好きではなくて……。
さらに、なんといっても悲しいのが、手間をかけたわりには「また?」と家族が残すことが多く、結局自分で食べるか処分になること。実は効率が悪かったりします。
その代わり、旬のもの、新鮮なものをシンプルに食べることにしました。そのほうが料理の手間は、作り置きよりも省けます。手間なし、かつ美味しくて、色も鮮やかです。
手間をかけずに生で食べられる野菜はたくさんあります。カリフラワー、アスパラ、そらまめなども試してみてください。ちょっといい塩やドレッシング、マヨネーズ、味噌を 用意すればそれだけで一品に。 調味料に少しこだわって、旬のものをいただけば、おいしく簡単におかずになるのです。
2.キャラ弁
キャラ弁はとにかく時間がかかる上に、細かな作業で食材にたくさん触るため、実は不衛生。子どもが喜ぶからといって頑張るのをやめましょう。 時間をかけてキャラ弁を作っていることが愛情のバロメーターにはなりません。 シンプルなお弁当で、愛情いっぱいです。
3.温めなおし
温めなおしをやめようというのは、冷たいままで食べるということではなくて、家族のバラバラな生活に対応して台所に立ち続けなくていいという意味です。
「シャトルシェフ」などの保温調理器具を使って、食事時間の違う家族がいても、温かいものを食べられるように仕組み化しておくのがおすすめです。
「勝手に食べればいいというのは冷たすぎないか」と言う人もいます。違うんです、食べている人の向かいに座りましょう。
台所で忙しく立ち働きながら、家族を一人食卓に座らせるよりも、自分でごはんや味噌汁をよそう家族と一緒に食卓につき、その日のできごとを話す。
調理を手放すということは、こうした時間を手に入れるということでもあるのです。